Archive for 読みたい論文

[読みたい論文] 打倒HMPA

25年以上前から闘い(?)は続いています。

  [Org. Lett. 2018, 20 (9), 2580–2584] Lewis-Base-Catalyzed Reductive Aldol Reaction To Access Quaternary Carbons (DePorre, Yvonne; Annand, James R.; Bar, Sukanta; Schindler, Corinna S.) Web: https://doi.org/10.1021/acs.orglett.8b00507  

 

 

  トリクロロシラン(HSiCl3)をα,β-不飽和カルボニル化合物に付加させてできるシリルエノラートとアルデヒドの向山型アルドール反応。

オリジナルの向山型アルドール反応では触媒にルイス酸を使用していますが、この論文ではルイス塩基、具体的にはpMeO-TPPOを使用しています。

ルイス塩基触媒としてもそうですが、添加剤や溶媒、配位子などに、昔、HMPAなるものがよく使われていたんですね。私も使っていました。

このHMPA、発がん性の疑いがあり、代替のものが昔から探されているのです。 尿素化合物やアミド化合物など、ね。

んで、この論文では、ホスフィンオキシドを使っているわけです。電子供与基、つまり、CH3O基でホスフィンオキシドの酸素原子の電子密度を高めて、ルイス塩基性を強めてやろうという狙いなのでしょう。

ところでHMPA、20年くらい前でしょうか、同期の人(今は某大学の教授です)から聞いた話ですが、HMPA入りの500mLのビンを手から滑らせて、履いていたジーパンにHMPAの液体をぶちまけた人がいたとか。

ちょうど股間のあたり。

んでその人、ぶちまけた後に皮がむけてしまったとか。どこの皮かは知りませんが(笑

打倒HMPAなので、読みたい論文に追加です。

キーワード: pMeO-TPPOHMPA向山アルドール型反応マイケル付加反応  

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6年間のブランクが…。勉強し直しだな。

 

[Chem. Lett. 2018, 47 (6), 756–759]
Decarbonylative Aryl Thioether Synthesis by Ni Catalysis (Ishitobi, Kota; Isshiki, Ryota; Asahara, Kitty K.; Lim, Cassandra; Muto, Kei; Yamaguchi, Junichiro)
Web: https://doi.org/10.1246/cl.180226

 

 

山口先生@早稲田大学。

ニッケル/ホスフィン触媒によるチオールエステルの脱カルボニル化。

わからんというか忘れてしまったというか、原系のaryl thioesterて、どっち側がaromaticなのかが気になります。

Rがアリール基なのか、R’がそうなのか、もしかして両方?

そんなわけで、読みたい論文に追加です。炭酸ナトリウムの役割も気になるところです。

キーワード: PnBu3dppbDMFTolH

 

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カルシウムおすすめ。

σ結合メタセシスが簡単に起こる、希少でない金属元素です。

[Organometallics 2017, 36 (20), 3981–3986]
Hydrocarbon-Soluble Bis(trimethylsilylmethyl)calcium and Calcium–Iodine Exchange Reactions at sp2-Hybrized Carbon Atoms (Koch, Alexander; Wirgenings, Marino; Krieck, Sven; Gテカrls, Helmar; Pohnert, Georg; Westerhausen, Matthias)
Web: http://dx.doi.org/10.1021/acs.organomet.7b00592

Graphical Abstractお借りしますね。

 

カルシウムの化学的性質は、希土類と似ているところがあって、イッテルビウム(Yb)上で起こる反応は、かなりの確率でカルシウムでも起こりうる(と思う)んです。

銅鉄なんとかではありませんが、たくさん報告されている、比較的高価な希土類の反応をベースに、カルシウムの化学を追いかけて行くのも、案外いいんじゃないかなと。

上記の論文での反応も、配位子交換というか、σ結合メタセシスというか、希土類では割とありがちなものですね。ああなるほどという感じ。希土類はソフトなヨウ化物イオンをポイッと放出しがちなんですが、カルシウムも、なんですね。

 

あまりにも希土類と似ているので、違いを探したくなります。

そんなわけで、読みたい論文に追加です。

 

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一部のおっさんにしかわからんタイトル。

これ聴いたの40代になってからですよ。B’zの松本孝弘さんのギターがやり過ぎなくらい輝いているあれ。

[J. Am. Chem. Soc. 2017, 139 (42), 14861–14864]
End-On Bridging Dinitrogen Complex of Scandium (Woen, David H.; Chen, Guo P.; Ziller, Joseph W.; Boyle, Timothy J.; Furche, Filipp; Evans, William J.)
Web: http://dx.doi.org/10.1021/jacs.7b08456

Graphical Abstractお借りしますね。

 

Prof. W. J. Evans。希土類錯体といえばこの人か奥田先生。

 

窒素分子1つが2つのスカンジウム錯体にend-onで取り込まれ、光照射で取り込まれていた窒素分子が放出されるという内容のようです。side-onタイプの希土類錯体はこれまでにも報告されているのですが、end-onタイプのものは初めてらしいです。

んで、窒素分子を取り込んだスカンジウムの価数が3、取り込む前or放出後のが2、と。ん?

…2?

2価の希土類錯体といえば、私が卒業研究をしていた頃はユウロピウム(Eu)とサマリウム(Sm)とイッテルビウム(Yb)くらいしかな買ったのですが、その後様々な2価の希土類錯体が報告され、とうとうスカンジウムですか。

無理くり還元して得られた2価の希土類、面白い反応性を示してくれるのではと期待しています。

そんなわけで、読みたい論文に追加です。

 

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鉄、しかも0価ですか。

触媒の不純物が気になるところですが、そのあたりのこともチェック済みなのでしょう。

[J. Am. Chem. Soc. 2017, 139 (42), 14849–14852]
Iron-Catalyzed Regioselective Anti-Markovnikov Addition of C–H Bonds in Aromatic Ketones to Alkenes (Kimura, Naoki; Kochi, Takuya; Kakiuchi, Fumitoshi)
Web: http://dx.doi.org/10.1021/jacs.7b08385

Graphical Abstractお借りしますね。

 

垣内先生@慶應大学。

配位性官能基を持つ芳香族炭化水素のo-アルキル化。アルキル源はアルカンで、形式的には付加反応。

反応そのものは村井研究室発のものの流れですが、ルテニウム触媒などだけではなく、鉄触媒でも反応が進むと言うのが論文の売りのようです。

この鉄触媒、0価ですよね。想像でですが、おそらく0価/2価の触媒サイクルを反応機構として考えているのではないかな、と。

個人的に気になったのが、この鉄触媒の合成法。Supporting Informationを読む限り、文献記載の方法でと言うことですが、–30℃で保存とは。
取り扱いが大変そうです。

ちなみにどうやって合成したか、文献をたどると

[Organometallics 2011, 30 (17), 4720–4729]
Iron Hydride Complexes Bearing Phosphinite-Based Pincer Ligands: Synthesis, Reactivity, and Catalytic Application in Hydrosilylation Reactions (Bhattacharya, Papri; Krause, Jeanette A.; Guan, Hairong)
Web: http://dx.doi.org/10.1021/om2005589

フルペーパー。読みたい、読めない。

そんなわけで、読みたい論文に追加です。

 

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