Archive for June 30, 2016

[読みたい論文] Maokovnikov則死亡

5月の「読みたい論文」リスト

教科書反応を信じ切ってはいけない。

例外他いろいろあるからね。

[Org. Biomol. Chem. 201614 (24), 5622–5626]
Scalable anti-Markovnikov hydrobromination of aliphatic and aromatic olefins (Galli, Marzia; Fletcher, Catherine J.; del Pozo, Marc; Goldup, Stephen M.)
Web: http://dx.doi.org/10.1039/C6OB00692B

Graphical Abstractお借りしますね。

160630

 

Goldup, Stephen M.

アルケンと臭化水素の反応。この反応自体はMaokovnikov則、anti-Maokovnikov則の一例として教科書に記載されるくらいシンプル。

臭素原子がどの炭素とくっつくか、てやつね。

anti-Maokovnikov則の例として、AIBNを添加したのがあるのですが、AIBN添加しなくてもanti-Maokovnikov型の反応が進んだよというのがこの論文の内容のようでして。

さらには、Maokovnikov型の反応を進めるには空気(というか酸素かと)を除かないといかん、ということも言ってるようでして。

そりゃそうだと思いつつ、内容を確認したいので、読みたい論文に追加です。

 

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5月の「読みたい論文」リスト

硫黄切断シリーズ

最近の流行りでしょうか。

[Org. Lett. 201618 (12), 2966–2969]
Palladium-Catalyzed ipso-Borylation of Aryl Sulfides with Diborons (Bhanuchandra, M.; Baralle, Alexandre; Otsuka, Shinya; Nogi, Keisuke; Yorimitsu, Hideki; Osuka, Atsuhiro)
Web: http://dx.doi.org/10.1021/acs.orglett.6b01305

Graphical Abstractお借りしますね。

160629

 

依光先生@京都大学

アリールスルフィドの炭素-硫黄結合を金属触媒で切断し、他の官能基を炭素原子上に導入する、最近よく見かける反応。

LiHMDS入ってるの、何を狙ってるのか気になるところです。塩基?そらそうなのでしょうが、なにゆえこれなのかてところがですね。

そしてLiHMDSは反応して何になるのか、反応機構絡みで本文中に記載されてるような気が。

気になるので、読みたい論文に追加です。

 

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5月の「読みたい論文」リスト

イッテルビウムにまかせろー

お高いですけどね。

[Org. Lett. 201618 (12), 2804–2807]
Catalytic Iodination of the Aliphatic C-F Bond by YbI3(THF)3: Mechanistic Insight and Synthetic Utility (Janjetovic, Mario; Ekebergh, Andreas; Trテ、ff, Annika M.; Hilmersson, Göran)
Web: http://dx.doi.org/10.1021/acs.orglett.6b01022

Graphical Abstractお借りしますね。

160628

Hilmersson, Göran

フッ化アルキルのハロゲン交換。ヨウ化イッテルビウム触媒。溶媒はアセトニトリルですかね。

これ、ケイ素とフッ素の相性をうまく使ってるんだろうなというのがパッと見の印象。

他の金属触媒で試してるのかなぁと、Supporting Informationを眺めましたが、特に検討はされていないようでして。本文中に何か記述してるのでしょうか。

お?と思ったのが、NMRでの反応のモニタリング。イッテルビウム(III)が入ってるのによく測定できたなぁと、この濃度でここまでシャープなシグナルが出るとは驚き。このあたりも本文かな?

いろいろ知りたいので、読みたい論文に追加です。

 

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塩化アルキルでOKとは驚き。

しかも常圧。

[J. Am. Chem. Soc. 2016138 (24), 7504–7507]
Ni-Catalyzed Carboxylation of Unactivated Alkyl Chlorides with CO2 (Börjesson, Marino; Moragas, Toni; Martin, Ruben)
Web: http://dx.doi.org/10.1021/jacs.6b04088

Graphical Abstractお借りしますね。

 

160627

 

Martin, Ruben

 

塩化アルキルと二酸化炭素からカルボン酸を合成。ニッケル触媒。二酸化炭素は常圧。塩基などの添加剤要るのかなぁとSupporting Informationを眺めた。

 

ちょっと待て。

 

マンガン?3倍モル数?

 

それGraphical Abstractに入れとかんかい。

 

他にも何かありそうなので、読みたい論文に追加です。

 

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[中村先生] 元素戦略は元素転換じゃないんだよ〜

どうしてこうなった

 

ケイ素水関連のWebになぜか中村栄一先生の話。どうやらだいぶ前からあちこち(例えばここ)で挙がってるようですが、私が持つ中村先生のイメージとあまりにも異なる記述にびっくり。

160626

私は、こういったいきさつの裏には、行政や学会のしたたかな思惑が介入したのでは、という疑問を持っています。自分たちの都合のいいように情報操作するためには、国内の学者(とくに森下先生のような現代医学の異端児に本当のことをいわれ、それを認めると、のちに都合が悪くなる事をちゃんと計算しているのです。外国の学者が言ったことは、あとからどうにでも脚色して、適当にごまかせると考えたことは容易に推察できます。それとも、森下説がすでに存在していたことを知らなかったのでしょうか。

…中村先生の言葉と思えない。まずありえない。

ちなみに私、中村先生の研究と割と近い仕事をしていましたし、中村先生の研究室出身の人、何人も知ってます。

中村先生を知ってる私の知り合い何人かにこの件についてたずねてみましたが、例外なく私と同意見。

何がどうなって中村先生の名前が出てきたのか調べたところ、「難病を克服する珪素の力 (bio books)」なる本に中村先生のコメントがあるとかないとかWebに出てましたが、本を買うか何かしないとわからないので、これはとりあえず置いておきます。

いろいろ考えを巡らせ、それっぽいキーワードがいくつか浮かびました。

 

・元素戦略

中村先生が発案した概念。
元素戦略に関連するプロジェクトがいくつか動いています。例えばここ

「元素転換」と似た言葉であるため、混同してキーワード検索で中村先生の研究がヒットしたのかもしれません。

ざっくり言うと元素戦略は「元素を理解し、そのポテンシャルを最大限に引き出す」ことを目指すというもの(でいいですよね?)。役に立たんから違う元素に転換してしまえという、元素転換とは方向性が全く違います。

・位置選択的合成

主に有機合成で使われる言葉。分子の中にある、どの原子について化学反応を起こさせるかを選ぶというもの。化学反応ですからね。これ、英語では

regioselective synthesis

なんですよね。中村先生の論文にも出てきます。元素転換での似た言葉として思い浮かぶのは

ragioselective synthesis

こんなのあるかどうかはわかりません(笑

・ケイ素から炭素へ

ケイ素から炭素へ(from silicon to carbon)という言葉、元素転換な方が見ればまさに元素転換と思ってしまう可能性があります。

でもね、有機化学でも使うんですよ。例えば転位反応(migration)。中村先生の論文のタイトルにも使われてますね。ある原子が、くっついている原子から離れ、別の原子にくっつく現象。ケイ素原子とくっついていたものが離れて炭素原子とくっつく、と。

・トランスフォーメーション

transformation。元素転換にどストライクな言葉ですが、有機化学でもよく使います。

例えばfunctional group transformation。アンパンマンの顔をとっかえるイメージ。

 

とまぁ思い浮かぶわけですが、森下説云々と中村先生がどうつながるのか、現時点では全くわからず。

 

元素転換界隈の方の「作文」と元素戦略の中村先生の名前が変に絡まってしまったのかな、と想像。

 

引き続き調査を続けます。やる気があればね。