H4Oの構造が見つかった(ただしですね

予め言っときますが、H4O「分子」じゃないですからね。

 

H6O分子の構造最適化したら水分子と水素分子になったので、同じ初期構造を使って鞍点探索を行いました(GAMESS, DFT, B3LYP/6-31G(d))。

 

初期構造はこれ。

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計算が進みにつれて…おや?

 

160311:24

 

探索中の動画あります

右のこれはもしかして…H4O?

そこでこの右の構造だけを取り出し、もう一度鞍点探索。

計算はすぐに終了。構造は取り出したものとほぼ変わらず。

 

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水分子に水素原子が2個くっついてるように見えますが、酸素(赤)と水素原子(白)の原子間距離の長い方(点線)は1.57Å。長すぎます。短い方は0.98Åで、水分子のものとあまり変わらず。

続いて振動解析。

虚の振動数がひとつだけ現れれば、遷移状態の可能性あり、です。

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虚の振動数(マイナスのもの)は、ひとつだけですね。

ここまで得られたデータをもとにIRC解析。これも計算は短時間で終わり。データを見ると…おや?反応の出発点、これかいな。

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H3Oと水素原子…計算ログを見ると、離れたところにある水素は、アニオンらしい。

つまり、このH4OはH3O+とHの反応の遷移状態、ということか。

ちなみに、反応の出発点も反応の終着点も構造は同じで、Hの交換が起こってるだけ、と。

このH4Oの構造は期待してたものと違う…と結論付けようとしたが…

 

念のために振動解析しました。すると、

虚の振動数、現る。

しかもひとつ。

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どんな振動をなのか、見てみると…

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これ、H2OとH2になる方向じゃないですか。

 

というわけで、やっぱりこの構造、H2OとH2からH4Oになっていく(またはH4OからH2OとH2戻っていく)の径路にある遷移状態のひとつ、ということのようです。

つまり、

H2O + H2 ⇄ [H3O+ + H] ⇄ [H4O]

まぁ、「道はある」ということです。

ただし、「可能性はゼロではない」くらいしか言えませんからね。

んでは、どのくらいの可能性なの?

 

振動解析で得られたデータから、ギブスエネルギーを計算すると

・[H3O+ + H]は、H2O + H2より350.88 kJ/mol高い(= ギブスエネルギー的に不利)

・[H4O]は、H2O + H2より497.26 kJ/mol高い

となりました。

497.26 kJ/mol …

ありえないくらいでかすぎます。やばいくらい。

 

このくらいのエネルギー差があるものを口に入れると、多分ヤケドどころじゃすまないんじゃないかなぁ。

だって、化学的に安定な炭化水素の炭素-水素結合が切れてしまうレベルですから。

常温・常圧ではこのH4Oはまず存在し得ないというのが私の結論。

しかもこれ、分子じゃなくて遷移状態ですからね。まず安定に存在し得ない。

というわけで、H4Oの構造の探索は続きます…

…やる気があればね。

 

【おまけ】正四面体のH4Oをむりくり計算したら、H2O + H2より590.01 kJ/mol不利と出たぞ。エネルギー差がもっとでかかったw

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正方形のはさらに不利で、エネルギー差は904.76 kJ/molに

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どちらもありえん構造だと思います。

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