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[読みたい論文] アミン-ボラン錯体を使ってカルボン酸からカルボン酸アミドを作ります

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Posted: November 18, 2020

Keywords: B; TBAB; DMAB; Choudhary, Shivani; 有機化学; ブログ

Amine-boranes as Dual-Purpose Reagents for Direct Amidation of Carboxylic Acids (Ramachandran, P. Veeraraghavan; Hamann, Henry J.; Choudhary, Shivani)
Org. Lett. 2020, 22 (21), 8593−8597.

 


カルボン酸からカルボン酸アミドを合成する反応に関する論文のようです。

カルボン酸アミド、フリーのカルボン酸とアミンから合成するとなると反応条件がキツくなりがちですが、ボラン-アミン錯体をアミン源にすると条件をより穏やかにできる、というのがこの論文のセールスポイントの一つの模様。ボランがルイス酸として機能するためであると思われます。

そしてもう一つのセールスポイントが揮発しやすいアミンをボラン錯体として取り扱えること。従来法と比較して反応温度を低くできたとはいえ、キシレンの沸点より低いフリーのアミンを扱うには厳しいわけで、ボランと錯化させておけば揮発していくのを抑えられる、と。なるほどです。

ところでこの反応、ボランがカルボン酸やカルボン酸アミドを還元してしまうことはないのでしょうか。要旨テキストにはアシロキシボランが生成するとあり、生成の際に水素が発生するのか、ボラン水素は早々に消費されてしまっているのかもしれませんが、どのような詳細な反応機構が本文中で提唱されているのかはやはり知りたいところです。

そんなわけで、読みたい論文に追加です。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

計算終わりました

 

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