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[読みたい論文] アミド系塩基を使って炭素-水素結合を切断して炭素-ゲルマニウム結合を形成します

Viewed: 21:51:03 in June 25, 2025

Posted: August 16, 2021

Keywords: Ge; LiTMP; Schoenebeck, Franziska; 有機化学; ブログ

Base-Mediated Direct C–H Germylation of Heteroarenes and Arenes (Dahiya, Amit; Schoenebeck, Franziska)
Org. Lett. 2021, 23 (15), 6010−6013.
URL (Doi): 10.1021/acs.orglett.1c02079

 


芳香族炭素-ゲルマニウム結合形成に関する論文にようです。

反応条件の検討に使われる基質はN–メチルインドールとクロロトリエチルゲルマン。反応に使用する塩基についてスクリーニングがされていますが、LiTMPだけがほぼパーフェクトでその他のは収率ゼロという凄まじい結果。LiTMPに類似の塩基についても調べればいいのにと思いました。上手くいったからそれ以上は追いかけなかった、ということなのかも。

LiTMPを使わなくてもn–ブチルリチウムでもいいのではとSupporting Informationを読んでいきました。LiTMPを調整するためにn–ブチルリチウムを使っているので。LiTMPを使うからこそ4–ブロモアニソールのブロモ基を残したまま3–位のベンゼン環炭素にゲルミル基を入れられるのですね、n–ブチルリチウムだとこうは行かなそう。

気になるのは反応機構。芳香環炭素のリチオ化からアリールリチウム種ができてそれからクロロゲルマンととなるのかと思ったりしますが、ゲルマニウムの化学にケイ素の化学と異なるところがあるかも知れず、もしかしたらスズに近いものかも知れない。ここは本文を読んで確認したいところ。そんなわけで読みたい論文に追加です。

17日の「読みたい論文」は「1回目」のためお休みします。Pです。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

計算終わりました

CAS-RN: 111-66-0
Chemical formula: C8H16
Molecular weight: 112.24
HOMO (eV): –6.658
LUMO (eV): +0.824
Dipole moment (D): 0.396150

 

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