[化学系論文] 日本人著者の論文のシェア 2018年版

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Posted: December 27, 2018

(2017年版の集計結果はこちら)

独断と偏見でピックアップした146の化学系学術雑誌に掲載された論文のうち、日本人著者のもののシェアを雑誌毎に調べました。

集計のためにチェックした論文の総数は約11万5千。

 

2017年版と同じくまずはトップ3から。

Journal
2018
2017
Bull. Chem. Soc. Jpn
79.9
86.4
Chem. Lett.
75.9
79.4
Communications Chemistry
26.0

 

 

ピックアップした中で最もシェアの高い雑誌は、2017年と同様、Bull. Chem. Soc. Jpnでした。シェアは79.9%です(2017年は86.4%でした)。2017年と比べ、日本人の論文は増えたのですが、日本人以外の著者の論文の数がそれ以上に増えています。ジャーナルの国際化が進んだということでしょう。

2番目にシェアの高い雑誌が、Chem. Lett.でした。75.9%で、2017年と比較して低下。こちらもジャーナルの国際化が進んだ、と言いたいところですが、論文の総数は減少。

というわけで、2017年と同様、2トップは日本化学会系の雑誌となりました。

3番目はなんと、2018年創刊のCommunications Chemistry (26.0%)。来年もこの数字が維持できるのか、気になるところです。

 

Communications Chemistryの創刊の影響は?

化学系のといえばまずこれと言われる雑誌でのシェアを見ていきたいと思います。

Journal
2018
2017
Nature Chemistry
7.0
12.0
Communications Chemistry
26.0
Angew. Chem. Int. Ed.
9.4
10.0
Chem. Eur. J.
9.4
10.5
Chem. Asian. J.
16.4
20.2
Chem. Commun.
9.1
9.9
J. Am. Chem. Soc.
8.7
9.9
Chem
6.8
7.5
 

Nature Chemistryで7.0%と、前年の12.0%から大きく低下。今年創刊されたCommunications Chemistryでのシェアが26.0%(!)ですので、そちらに食われてしまったのかもしれません。

Angew. Chem. Int. Ed.では9.4%。同じくWiley系のChem. Eur. J.でも9.4%。両雑誌は、日本人の論文数もですが総論文数も減少しています。

J. Am. Chem. Soc.では8.7%。シェア、日本人の論文数、総論文数全て低下または減少しています。

Chem. Commun. (9.1%)では、総論文数が増加する一方で、日本人の論文が減少しています。

新興Chemでのシェアは下がりましたが、論文数は増加しています。

 

有機化学系の雑誌では…

Journal
2018
2017
Asian J. Org. Chem.
19.8
16.9
Eur. J. Org. Chem.
8.5
8.3
Tetrahedron Lett.
11.7
12.1
Tetrahedron
11.7
11.0
Org. Lett.
10.3
11.7
J. Org. Chem.
9.9
10.5
Org. Chem. Front.
2.0
5.7
Org. Biomol. Chem.
7.0
7.3
 

有機化学系の雑誌でのシェアですが、最も高いのは昨年と同じで、Asian J. Org. Chem. (19.8%)です。昨年の16.9%から増加。論文数も増えています。Eur. J. Org. Chem.でも、シェア・論文数共に増加しています。

Asian J. Org. Chem.に続くのはTetrahedron Lett.で、日本人シェアは11.7%。ただし、総論文数もシェアも減少しており、雑誌の人気低下の可能性も。Tetrahedronでもシェアが増える一方で、総論文数は減少しています。

J. Org. Chem.では9.9%で、2017年よりもシェアが低くなりましたが、論文数は増えています。一方、Org. Lett.では10.3%で、日本人著者の論文数もシェアも低下・減少しています(総論文数は増加)。

 

集計データについて

各雑誌におけるシェアを多い順にまとめたものがこちらです。

データを活用いただけましたら幸いです(データを利用した際には、URLなどのクレジット表示をお願いします)。

 

総合シェア: 2017年との比較

調査した全雑誌でのシェアは6.23%でした(調査対象の雑誌は完全には重なりませんが、2017年版でのシェアは6.29%)。

 

この記事を書いた人
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

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