[読みたい論文] リン−ホウ素系6員環frustrated Lewis pair

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Posted: January 11, 2019

[Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (3), 882−886] Aggregation Behavior of a Six-Membered Cyclic Frustrated Phosphane/Borane Lewis Pair: Formation of a Supramolecular Cyclooctameric Macrocyclic Ring System (Jie, Xiaoming; Daniliuc, Constantin G.; Knitsch, Robert; Hansen, Michael Ryan; Eckert, Hellmut; Ehlert, Sebastian; Grimme, Stefan; Kehr, Gerald; Erker, Gerhard)

ペアにならんと浮気しとるがな。

リン−ホウ素系6員環frustrated Lewis pair (FLP)の合成を化学的性質に関する論文。Graphical Abstract中のMes*は2,4,6-tri-tert-butylphenyl基です。π共役化合物や水素と反応させるなど、系統的な実験も行われている模様。論文中で興味が引かれそうなのは、低温下では6量体、しかも環状になるところでしょうか。


このFLPどのくらいの温度で6量体に会合/6量体から解離するのかですが、Supporting Informationに種々の温度下での溶液状態でのFLPのNMRスペクトルが載せられており、268Kと273Kでのスペクトルにわかりやすい違いが見られるので、だいたいこのあたりかなあという気もしなくはないですが、正確なところは著者らが本文中でなんらかのプロットをして考察しているのではと想像しています。

なお、上の式の左側の単量体は、著者らが以前に合成したものとビニルシクロヘキサンを反応させ、リン原子が配位していたホウ素を引き剥がすことで合成したとのこと。ヒドロホウ素化ですね。


そんなわけで、読みたい論文に追加です。

Keywords: 2,4,6-tri-tert-butylphenyl; frustrated Lewis pair; hydroboration; vinylcyclohexane

この記事を書いた人
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

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