[読みたい論文] 硫化物イオンは水中では存在しない?

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Posted: January 28, 2019

[Chem. Commun. 2018, 54 (16), 1980−1983] Goodbye to S2− in aqueous solution (May, P. M.; Batka, D.; Hefter, G.; Konigsberger, E.; Rowland, D.)

簡単に言えば、水溶液中ではS2−は検出されなかったという内容。論文中では、S2−が関わる、これまでに文献に記載された平衡式や付随する熱力学絡みの計算式やデータが使えなくなる、という話に続いていくのでしょうか。

Supporting informationに目を通しましたが、示されたラマンスペクトルを見る限り、水中のHSなどの多原子イオンの原子—原子結合の伸縮振動や変角振動を見て、S2−が検出されなかったと、本文中で述べているような気がします。

でも、S2−は単原子のイオンですよね。この手法で見えるんですかね。それとも、スペクトル測定では振動とは違うものを見ている?よくわかりません。

あるいは、他の手法でも検出を試みているとか。

ラマンスペクトルというのが具体的にどの種類のものか知りたいので、読みたい論文に追加です。

この記事を書いた人
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
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