[読みたい論文] アンチモンでC−H結合活性化

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Posted: February 13, 2019

[Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (8), 2241−2245] Selective C−H Functionalization of Methane and Ethane by a Molecular SbV Complex (Koppaka, Anjaneyulu; Park, Sae Hume; Hashiguchi, Brian G.; Gunsalus, Niles J.; King, Clinton R.; Konnick, Michael M.; Ess, Daniel H.; Periana, Roy A.)

Prof. Perianaの、低分子炭化水素のsp3-C−H結合活性化に関する論文。直接関わった研究分野ではないですが、何もかもが懐かしい…。


高原子価のアンチモンとメタン(R = H)またはエタン(R = CH3)を反応させていますが、要旨を読む限り、アンチモン化合物は触媒ではなく反応剤として機能しているような気がします。反応の触媒化には再酸化剤が必要でしょうね(本文中では使っているかも)。エタンの反応については、CF3C(O)OCH2CH2OC(O)CF3も生成している模様です。この化合物、Supporting Informationを見るとエチレンの反応からも生成しているようですが、どのような目的でエチレンとの反応を検討したのかは、論文本体を読まないとわからないようです。

メタンやエタンからトリフルオロ酢酸エステル[ROC(O)CF3]が生成する機構、前半はGraphical abstractに記載の環状の遷移状態を経るものだと解るのですが、その後どうなってトリフルオロ酢酸エステルとなるのか、また、反応したアンチモンの成れの果てがどんなものなのか、気になるところです。還元的脱離の後、Sb(tfa)3になるのでしょうか。

と言うわけで、反応機構を知りたく、読みたい論文に追加です。親電子置換型のsp3-C−H結合活性化は、水銀とかパラジウムとか色々報告されてます。硫酸やトリフルオロ酢酸などの強酸を使うものが主流かな。

Keywords: C−H bond activation; trifluoroacetic acid; 1,1,2,2-tetrachloroethane

この記事を書いた人
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
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