[読みたい論文] ペリレン環の炭素原子を窒素原子かホウ素原子に置き換えます。

Viewed: 03:11:25 in December 11, 2019

Posted: August 8, 2019

Introducing Perylene as a New Member to the Azaborine Family (Kaehler, Tanja; Bolte, Michael; Lerner, Hans-Wolfram; Wagner, Matthias)
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (33), 11379−11384.

Keywords: perylene; B; N; Migita-Kosugi-Stille coupling; NTf2; abs; PL; CV


表題画像の構造に代表される、一部の炭素原子をホウ素原子や窒素原子に置き換えたペリレン化合物の合成と光物性について報告している論文のようです。

Supporting Informationに記載の通り、合成は上の反応スキームの左側の化合物とアルキニルスズ化合物のMigita−Kosugi−Stilleカップリングによる芳香環へのアルキンの導入、シリルアミンによるホウ素原子上の酸素原子の窒素原子への置き換え、そして金触媒による環化という手順で行なっています。シリルアミンを使わない場合には、酸素原子がヘテロ環の一部となります。

X線結晶解析の図もありますが、化合物の平面性が気になるところですね。というのも、置換基のせいかもしれませんがDFT計算上は分子の平面性が崩れて湾曲した構造になっているからです。もしかしたら本文中ではその辺りのことを議論しているのかもしれません。

あと光物性。基本骨格だけのペリレンの吸収スペクトルと発光スペクトルの重なりはかなり大きいのですが、ホウ素原子と窒素原子が導入されたものは両スペクトルのずれ、つまり、Stokesシフト幅がより大きくなっているようで、この辺りの説明にも興味あります。

そんなわけで読みたい論文に追加です。

この記事を書いた人
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

1959年はこんな年

ノーベル化学賞
ポーラログラフィーの理論および発見
(Jaroslav Heyrovsk?)
できごと
メートル法実施
キューバ革命
アラスカがアメリカ49番目の州に
NHK教育テレビ放送開始
昭和基地に置き去りにしたタロとジロの生存確認
日本教育テレビ(テレビ朝日)放送開始
「ザ・ピーナッツ」デビュー
フジテレビジョン放送開始
バービー人形発売
京都セラミック(京セラ)設立
「週刊文春」(文藝春秋)創刊
伊東下田電気鉄道設立
東海道新幹線起工式
「ブルーバード」発売日産自動車(日産自動車)
熊本大学医学部水俣病研究班が水俣病の原因物質は有機水銀であると公表
ハワイがアメリカ50番目の州に
胃腸薬「プロバンM」発売(大日本製薬)
ソ連の月探査機ルナ2号が月に衝突
「皇室アルバム」放送開始(毎日放送テレビ系)
「おかあさんといっしょ」放送開始(NHK)
マルタイラーメン発売(マルタイ)
緑のおばさん登場
個人タクシー許可
人類初のHIV感染による死亡者(コンゴ)

 

きょうのどうぶつ

ここの画像を使用しています。

プランターの土の上でくつろぐクロ2号。

 

計算終わりました

 

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