[読みたい論文] P(=O)N基を含むπ共役系の合成と光物性

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Posted: August 28, 2019
[有機化学] [ブログ]

PN-Containing Pyrene Derivatives: Synthesis, Structure, and Photophysical Properties (Deng, Chun-Lin; Bard, Jeremy P.; Zakharov, Lev N.; Johnson, Darren W.; Haley, Michael M.)
Org. Lett. 2019, 21 (16), 6427−6431.

Keywords: AIE; NIS; Tf; TFA; AcOH

P(=O)−N基を含むπ共役化合物の合成と光物性に関する論文のようです。Graphical Abstractをみてん?と思ったのは、表題化合物の構造式。2箇所ある置換基のうち、片方がArでもう片方がRなんですよね。π共役を伸ばすなら両方芳香族基でいいんじゃないかと思ったのですが、Rに芳香族基が含まれているのはSupporting Informationを読んでわかりました。

となると片方がArである理由が何故なのかですよね。Suporting Informationを読んでいくと、合成ルートを表す下のようなスキームが描かれていました。


出発化合物をニトロ化して窒素源を入れておいてからOH基をTf化して脱離基とし、アルキニル基を導入してニトロ基をアミノ基に還元し、リン源を導入してヨード基を入れて、と。んーと、リン源を入れるときに一部3価リンが5価に酸化されてるのから、単離せずに続けてNISで全てのリン化合物を5価にしてるのかな。

Arなのはここかなと思ったのが最後のステップ。ヒドロアミノ化が脂肪族アルキンだとうまいこといかないのかなと。やり意味がないからあえて作らなかったのかもしれませんが、理由がるとすればここかなと。

本文中では合成した化合物の光物性について、発光波長や寿命、凝集誘起発光の有無などを調べているようなので、読みたい論文に追加です。ところでこれら一連の化合物、リン原子にキラル中心があるような気がするのですが、X線結晶解析とかどうなっているのでしょうね。そこも気になるところです。

この記事を書いた人
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

1973年はこんな年

人名反応など
Gassmanインドール合成 [Doi 1]
Juliaオレフィン化 [Doi 1]
Julia−Lythgoeオレフィン化反応 [Doi 1] [Doi 2]
Lindgren酸化 [Doi 1]
McMurryカップリング [Doi 1]
Mukaiyamaアルドール反応 [Doi 1]
Pinnick酸化 [Doi 1] [Doi 2]
ノーベル化学賞
サンドイッチ構造を持つ有機金属化合物の研究
(Ernst Otto Fischer, Geoffrey Wilkinson)
できごと
ごきぶりホイホイ」発売(アース製薬)
為替レートが変動相場制に移行
足尾銅山閉山
「新型青電話機」発売(日本電信電話公社=NTT)
コナミ設立
全国銀行データ通信システムが稼動
祝日法改正・振替休日制の導入
山口百恵がシングル「としごろ」で歌手デビュー
「はだしのゲン」連載開始(中沢啓治)
東亜石油と共同石油の合弁により東亜共石設立
NHKホール落成
松下電器産業創業者の松下幸之助会長が相談役に退く
ドバイ日航機ハイジャック事件
「ランドサット1号」打ち上げ
資源エネルギー庁発足
味の素ゼネラルフーヅ設立
ミヤマ(レオパレス21)設立
筑波大学開学
太陽神戸銀行誕生
公害健康被害補償法制定
オイルショック
江崎玲於奈がノーベル物理学賞受賞
無リン洗剤「せせらぎ」発売(ライオン油脂=ライオン)
京都東急イン開業
ヨークセブン(セブンイレブン)設立
ノストラダムスの大予言が出版
白泉社設立
「明治ブルガリアヨーグルト」発売(明治乳業)
日本国内での出生数ピーク
四八豪雪

 

きょうのどうぶつ

ここの画像を使用しています。

よく見かけるんだけど名前のわからない生き物。

 

計算終わりました

 

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Tag: H, Cy, C, PDAC, HP, GMC, H2O2