[読みたい論文] 温和な条件下で進むケトンのα-アリール化

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Posted: October 4, 2019
[有機化学] [ブログ]

Ylide-Functionalized Phosphine (YPhos)−Palladium Catalysts: Selective Monoarylation of Alkyl Ketones with Aryl Chlorides (Hu, Xiao-Qiang; Lichte, Dominik; Rodstein, Ilja; Weber, Philip; Seitz, Ann-Katrin; Scherpf, Thorsten; Gessner, Viktoria H.; Gooßn, Lukas J.)
Org. Lett. 2019, 21 (18), 7558−7562.

Keywords: Pd; Cy; cod; dba


Pd触媒下でのケトンのα-アリル化に関する論文のようです。上の反応スキームの矢印の上にあるような、イリド構造を持つホスフィンがあることがこの反応の特徴であり、この配位子の存在により温和な条件下でも反応性の比較的乏しい塩化アリールの反応がスムーズに進行するという売りがある、といったところでしょうか。

反応にはtBuONaが使われていますが、これはケトンエノラートの発生、つまり、ケトンのα-水素を塩基で引き抜くためのものだと想像していますが、もしかしたら「イリド構造」を介してなのかも(要確認)。正確なところは反応機構の一部として本文中に描かれているのかと。

イリド構造を持つホスフィンはPd金属の配位子として機能しており、Pd(cod)Cl2に対して2倍モル量使っていることが、Supporting Informationからわかります。2倍モル量必要である理由はちょっとわかりません。Pd2(dba)3とホスフィンが1:1で錯化したものの構造が同じくSupporting Informationにありますが、シクロヘキサンの水素とパラジウムの間に何らかの相互作用があるような構造式が描かれているのが気になりますが、X線結晶解析はしていないようです。NMRからこの相互作用がわかるものなんですかね。元のPd錯体の価数も違いますし。

反応の様式はシンプルなのですが、反応機構、特にイリド構造を持つホスフィンがどう反応を加速するのか知りたいので、読みたい論文に追加です。あとPdがどの段階で2価から0価になるのかもですね。

この記事を書いた人
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

1998年はこんな年

人名反応など
Fukuyamaカップリング [Doi 1]
Chan−Lamカップリング
ノーベル化学賞
量子化学における計算化学的方法の開発
(Walter Kohn, John Anthony Pople)
できごと
ヴィジュアル系バンドブーム
黒塚古墳で32面の三角縁神獣鏡が発見
ネイルアートの流行が始まる
「リング」公開
長野オリンピック
郵便番号の7桁化
「長い間」(Kiroro)
「モーニングコーヒー」(モーニング娘。)
長野パラリンピック
明石海峡大橋開通
「ショムニ」放映(フジテレビ)
「ザ!鉄腕!DASH!!」放送開始(日本テレビ)
浜崎あゆみメジャーデビュー
椎名林檎デビュー
金融監督庁発足
「夏色」(ゆず)
火星探査機「のぞみ」打ち上げに成功
和歌山毒物カレー事件
アジ化ナトリウム混入事件
aikoデビュー
ロシア財政危機
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BBCが世界初の地上デジタルテレビ放送を開始
コブクロ結成
「あぶないあぶない」
「踊る大捜査線 THE MOVIE」公開
秩父小野田と日本セメントが合併し、太平洋セメントに商号変更
「おじゃる丸」放送開始
LTCM危機
宇多田ヒカルメジャーデビュー1997

 

きょうのどうぶつ

ここの画像を使用しています。

数年前に立ち寄った。道の駅たたらば壱番地にて。

 

計算終わりました

 

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