[読みたい論文] 有機光触媒で脂肪族ケトンとかアルデヒドとかを還元します

Viewed: 15:31:20 in January 25, 2020

Posted: December 27, 2019

Catalytic Generation and Use of Ketyl Radical from Unactivated Aliphatic Carbonyl Compounds (Seo, Hyowon; Jamison, Timothy F.)
Org. Lett. 2019, 21 (24), 10159−10163.

Keywords: p-terphenyl; PMP-4-OH; DMA; 読みたい論文シリーズ; 有機化学; ブログ


有機光触媒による脂肪族アルデヒドや脂肪族ケトンの光還元とスチレン類とのカップリングに関するオープンアクセス論文です。

この研究分野の背景、特にケトンやアルデヒドを一電子還元してケチルラジカルを発生させる方法については本文中に書かれている通りで、この論文にある手法だと色々問題となり得る金属を使わなくて済むと言うのがこの論文の売りではあります。ところで、ベンゾフェノンなどの光増感剤とアミン化合物を使う同じような手法があったような気がするのですが…、まあいいや。フロー合成できるのはポイント高い(古い表現)かも。

実験結果については論文を読めばわかるのでここではあれこれ書きませんが、カップリングさせるアルケンはスチレン類限定なのかなと思ったりもしたのですが、分子内反応ではれば脂肪族アルケンでもいけるようで。

論文全体、特に引っかかることなくざっと読めました。ヨウ化サマリウムが背景のところに出てくるのに時代を感じました。そういえば生成物に取り込まれる水素原子というかプロトン、どこからやってくるのでしょうね。可能性があるとすればH2Oなのでしょうが、だとすればH2Oは最終的にどうなってしまうのか、気になりました。もしかしたら書いてあるのを読み飛ばしてしまったのかもしれないので、あとで本文をじっくり読み直したいと思います。

この記事を書いた人
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

きょうのどうぶつ

ここの画像を使用しています。

尻尾の動きに勢いがあるチャシロさん。

 

計算終わりました

 

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[Inorg. Chem. 2019, 58, 16379−16386]
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Tag: PXRD, det., lb, N, W, HEX, Hx, am, XR, SG, UC, NH4Cl, XRD, SC

鉄  
[Inorg. Chem. 2019, 58, 16475−16486]
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[Inorg. Chem. 2019, 58, 16703−16711]
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[Inorg. Chem. 2019, 58, 16752−16760]
Ferroelectric BaTaO2N Crystals Grown in a BaCN2 Flux
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[Inorg. Chem. 2019, 58, 16823−16830]
Polymorphism and Temperature-Induced Phase Transitions of Na2CoP2O7
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Tag: FOT, Sn, NPD, 57-13-6