2019年4月25日のコンテンツから

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Posted: April 25, 2019
WordPressの記事をアーカイブ化したものです。

この記事を書いた人
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

まずはこのニュースから

 

A fresh approach to synthesizing ammonia from air and water

https://www.nature.com/articles/d41586-019-01213-7

東京大学・西林先生の研究成果。モリブデン触媒・ヨウ化サマリウム系での、水と窒素からのアンモニア合成の研究成果の発表があり、各メディアから報じられています。

ヨウ化サマリウム、有機合成での用途では、大抵はTHF(テトラヒドロフラン)溶媒中で使われるんですよね。なんでかというと、ヨウ化サマリウムをサマリウム金属からTHF中で作って、そのまま使うから。溶液で使える還元剤というのがヨウ化サマリウムのセールスポイントであったりします。

ヨウ化サマリウムの還元力は強いのですが、適当な添加剤というか配位子を共存させてやると、添加剤が配位して還元力がさらに増すんです。添加剤としてはHMPA(ヘキサメチルリン酸トリアミド)が代表的ですが、実は水を添加しても、ヨウ化サマリウムの還元力は増大するんです。20世紀末の話なのでどの雑誌に論文があるのかは忘れましたが、希土類討論会での口頭発表でそういう話を聞いたのは覚えています。

それと、ヨウ化サマリウムの性質、還元力ばかり注目されますが、実はルイス酸性も強いんですよね。希土類のルイス酸の代表例がトリフルオロメタンスルホン酸塩ですが、これに匹敵する強さのルイス酸性がヨウ化サマリウムにはあるのではと、個人的には思っています。なので、ヨウ化サマリウムへの配位で水分子のの化学結合が切断されやすくなるというのも、あり得る話だなと。

水に対してわりかし耐性のあるヨウ化サマリウムですが、酸素には敏感で、簡単に酸化されてしまいます。そんな弱点もあり、また、サマリウムの価格を考えると、ヨウ化サマリウムをアンモニア合成プロセスに使うのは非現実だとは思います。ヨウ化サマリウムのヨウ素かサマリウムか、両方を残すのであれば、光還元による再生を考えないといけないのではと。

まあ、夢のある研究成果ということで。

 

きょうのどうぶつ

ずぶ濡れの黒2号。パトロール好きというか、お仕事熱心で何よりです。

 

[読みたい論文] アリールメチルスルフィドからのアリールカルボン酸エステル合成

https://nanoniele.jp/archive/nanoniele_archive.cgi?c=4494


スルホニウム塩を系中で発生させてパラジウム触媒の存在下で一酸化炭素とアルコールと反応させ、アリールカルボン酸エステルにするという内容のようです。

 

きょうの計算

2-hydroxyanthracene

https://nanoniele.jp/nanoniele.cgi?keyword=613-14-9&id=20180910094155

 

1971年はこんな年

人名反応など

Abramov反応
Hajos−Parris−Eder−Sauer−Wiechert反応
Kochiクロスカップリング
Masamune−Bergman環化
Minisci反応
Mizoroki−Heck反応
Seyferth−Gilbert反応

ノーベル化学賞

遊離基の電子構造と幾何学的構造の研究
(Gerhard Herzberg)

 

できごと

世界経済フォーラム(WEF)設立。ダボス会議。
アスワンダム公式開通
「新婚さんいらっしゃい!」放送開始(朝日放送)
「セキスイハイム」発売(積水化学工業)
NASDAQによる証券取引はじまる
多摩ニュータウンの入居が始まる
自動車などの6業種の資本自由化実施
「ゴールデン洋画劇場」放映開始(フジテレビ)
「仮面ライダー」放映開始
「non-no」創刊(集英社)
ノエビア設立
環境庁発足
マクドナルド銀座店オープン
プリンスホテル設立
ニクソン・ショック
円変動相場制移行
「サッポロ一番塩らーめん」発売(サンヨー食品)
「小枝」発売(森永製菓)
「カップヌードル」発売(日清食品)
第一勧業銀行発足
「マジックリン」発売(花王石鹸=花王)
「スター誕生!」放送開始(日本テレビ)
「テレビマガジン」創刊(講談社)
川崎ローム斜面崩壊実験事故
ソ連の火星探査機マルス2号が火星に衝突
スミソニアン体制発足

 

注目の記事

機能性ペプチドによる巨大DNAの細胞内導入
(理化学研究所)
http://www.riken.jp/pr/press/2019/20190425_2/

巨大原始星の周りにアルミニウムを含む分子を発見
(理化学研究所)
http://www.riken.jp/pr/press/2019/20190425_1/

室温で緑色発光するp型/n型新半導体を独自の化学設計指針をもとにペロブスカイト型硫化物で実現
(Chem-Station)
https://www.chem-station.com/blog/2019/04/pn.html

哺乳類内在色素・ビリベルジンを結合する分子の合理的設計と応用利用
(東京大学)
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z0109_00143.html

東大、窒素ガスと水からのアンモニア合成に成功
(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP507794_W9A410C1000000/

スペインバルセロナのHarbour.Space University とは?
(論文博士を取得した企業研究者のブログ)
https://researcher-gakui.com/post-1527/

引っ張ると白い蛍光を出すゴムの開発に成功~材料が受けるダメージの可視化に期待~
(北海道大学)
https://www.hokudai.ac.jp/news/2019/04/post-525.html

 

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ChemistryViewsでも紹介されてました。

東広島・一久
【お知らせ】未確認ですが、移転準備中との情報ありです。

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