[読みたい論文] 速度論的同位体効果: 150倍!

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Posted: June 5, 2017
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この記事を書いた人
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

低温ではなく、25℃でこの数値です。

ここまで大きいのは初めて見たような気がします。

[J. Am. Chem. Soc. 2017, 139 (21), 7144−7147]
Intramolecular Hydrogen Atom Transfer in Aminyl Radical at Room Temperature with Large Kinetic Isotope Effect(Wang, Ying; Olankitwanit, Arnon; Rajca, Suchada; Rajca, Andrzej)
Web:https://doi.org/10.1021/jacs.7b02692

Graphical Abstractお借りしますね。

窒素原子の近くにある水素原子を取り込む速度が、重水素原子のものと比べて150倍速いという内容のようです。しかもほぼ室温(25℃)というのですから、私はびっくりです。

このテの反応での数値、よく見かけるのは1桁台ですよね。いったい何が起こっているのでしょうか。

ラジカルは、”ふつうの”カルバゾールの窒素原子上の水素原子をn-BuLiで引っこ抜いて、3価の鉄錯体[FeCp2][BF4]で酸化して発生させています。このラジカル、長持ちするようですが、濃度が濃すぎるとダメなようでして、NMR測定はできなかったとかSupporting Informationに書かれています。

何がどうなっているのか知りたいので、読みたい論文に追加です。

 

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