【本日の化学略語】Tr

Tr: trityl

トリフェニルメチル基です。

化合物(触媒)として使用したのは、TrBF4が初めてで、エステルのシリルエノラート(KSA)の異性化の触媒として使いました。

当時、KSAの異性化を追いかけていて、別の触媒ではα-シリルエステルが選択的に生成していました。同じ反応が進むか、反応が全く振興しないかのどちらかだろうと思い、プロピオン酸エステルのシリルエノラートを基質とし、反応を仕込みました。

プロピオン酸エステルのシリルエノラートには2種類の異性体、すなわち、E体とZ体があり、反応に使用したのはE体でした。

所定の時間後、GCで反応の進み具合をチェックすると、ターゲットのα-シリルエステルは全く生成していませんでした。反応は進まないのかとGCチャートをよく見ると…原料のものとはリテンションタイムが少し違うのです。

おかしいなと思い、ジクロロメタン溶液を重クロロホルムと混合してNMR測定すると…

生成していたのはZ体でした。

シリルエノラートのE体からZ体への異性化は、後で調べて既に報告例があることがわかりました。ただ、Z体の合成はE体と比べ、添加剤等が必要等煩雑でした。結果として、Z体のシリルエノラートの合成法として、E体の異性化を利用することに。

損して得した、です。

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