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[読みたい論文] ケイ素と二重結合の炭素とカルボン酸の酸素をくっつけてシリルラクトンにします

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Posted: December 28, 2020

Keywords: di-tert-butyl peroxide; triethylsilane; triisopropylsilane; diphenylsilane; benzene; Thorpe–Ingold effect; Kondo, Yoshinori; 有機化学; ブログ

Di-tert-butyl Peroxide (DTBP)-Mediated Oxysilylation of Unsaturated Carboxylic Acids for the Synthesis of Silyl Lactones (Nozawa-Kumada, Kanako; Ojima, Takuto; Inagi, Moeto; Shigeno, Masanori; Kondo, Yoshinori)
Org. Lett. 2020, 222 (24), 9591−9596.

 


 

読みもしないで論文の内容を適当に紹介しているこのブログ、2020年最後の記事です。

不飽和カルボン酸の分子内感化に関する論文のようです。

不飽和カルボン酸とヒドロシラン、DTBPの組み合わせからラジカル反応であろうと勝手に想像しています。Supporting Informationにもそれらしい実験が行われている旨記述がされています。補足剤を使ったやつですね。

ラジカル反応であるとすれば最初に発生するのはDTBP由来の(CH3)3CO•で、こいつと基質が反応してとなるのでしょう。それが不飽和カルボン酸なのかヒドロシランなのか両方なのか気になったので、本文を読んで確かめたく、読みたい論文に追加しました。

DTBPの使用量を考えるとアルキルラジカルとシリルラジカルから炭素-ケイ素結合ができるのかなと思ったりもしますが、ラジカルサイクルがぐるぐるなのかもしれない、と。

反応例の中から生成物をいくつかピックアップするとこんな感じで、


A〜Cからベンジルラジカルの発生が重要なのかなと思う一方で、Dを見てカルボキシルラジカルかいなとも。BとCは反応速度の違い(Thorpe–Ingold効果?)を見てるのか、Baeyer-Villiger酸化を気にしてるのか。Eは嵩高いシリル基でもいけるのか、Fはヒドロシランがやられずに残るのか、ヒドロシラン1分子に対して2分子の不飽和カルボン酸が反応しないのかを、それぞれ見てるのでしょうか。

実験の意図が色々気になるところです。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

計算終わりました

 

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