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[読みたい論文] フッ素化合物を使ってアルケンにハロゲンを付加させます

Viewed: 10:26:57 in July 17, 2025

Posted: November 24, 2022

Keywords: Selectfluor; TBA; Nişancı, Bilal; 有機化学; ブログ

Selectfluor and TBAX (Cl, Br) Mediated Oxidative Chlorination and Bromination of Olefins (Dağalan, Ziya; Koçak, Ramazan; Daştan, Arif; Nişancı, Bilal)
Org. Lett. 2022, 24 (45), 8261–8264.
URL (Doi): 10.1021/acs.orglett.2c02627

 


アルケンのハロゲン化に関する論文のようです。

October 25, 2022
[読みたい論文] ベンジル炭素-水素結合を切断してチオシアン酸エステルやイソチオシアン酸エステルにします
チオシアン酸シリル使用。
Org. Lett. 2022, 24 (40), 7366–7371.

 

アルケンとハロゲンからジハロアルカンを合成する反応は有機化学の教科書でもよく見かけますが、塩素だとガスだし臭素だとアンプル入りだし(瓶入りもあるけど漏出が)で、ハロゲンをそのまま使用するのはめんどくさい。ならば扱いの容易なハロゲンがアニオンな塩をなんとかして使えるようにと、ハライドと酸化剤でハロニウムイオンを発生させてというのが、この論文の主旨なのでしょう。

この論文で検討されているハロゲン源がテトラアブチルアンモニウムハライドでハライドが塩化物イオンか臭化物イオン、酸化剤がSelectfluor。フッ素のカチオンがアニオンになる駆動力が酸化力というわけです。

論文をざっと見た限りでは、アルケンへのハロゲンのtrans–付加が起きているあたり、Selectfluorによるアルケンのハロゲン化は目論見通りの模様。下のようなWagner–Meerwein転位もそれを支持しているようで。一方、アリル化合物に関してはラジカル的な反応も起きているようで、アリル炭素にハロゲン原子が結合した生成物も。


気になるのは「フッ素」。陽イオンにしろ陰イオンにしろ、アルケンと反応する可能性があるわけですが、生成物として確認されているのかそうでないのか。その辺りを知りたいので、あとでじっくり本文を読みたいと思います。

 

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November 24, 2022
駆け巡るイタチ
明るい時間に現れるのは珍しい。

 

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

計算終わりました

Chemical formula: C7H16N
 

November 22, 2022
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