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[読みたい論文] 鉄触媒でケトンのメチル基を長くします

Viewed: 08:45:58 in July 17, 2025

Posted: August 15, 2022

Keywords: Fe; carbon-carbon bond formation; visible light photoredox catalysis; Renaud, Jean-Luc; Poater, Albert; 有機化学; ブログ

Blue-Light-Induced Iron-Catalyzed α-Alkylation of Ketones (Abdallah, Marie-Samira; Joly, Nicolas; Gaillard, Sylvain; Poater, Albert; Renaud, Jean-Luc)
Org. Lett. 2022, 24 (30), 5584–5589.
URL (Doi): 10.1021/acs.orglett.2c02233

 


ケトンのアルキル化に関する論文のようです。

[読みたい論文] 名前を出すのに気を使ってしまう酢酸エステルのα-メチル化
メタノールがメチル源です。
Org. Lett. 2019, 21 (9), 3299−3303.

 

鉄触媒下でメチルケトンのα位にアルキル基を導入。アルキル源はアルコール。

アルコールからアルキルカチオンのようなものを発生させてエノール化したメチルケトンと反応させるのが常套手段ですが、その「アルキルカチオンのようなもの」をどうやって発生させるかが鍵になるのでしょうね。この論文の反応もそうですが、その発生法の一つが酸化(脱水素)によるアルデヒドの発生。アルデヒドさえ発生させることができれば、あとは教科書によく載っているアルドール縮合と脱水によりα,β–不飽和ケトンとその水素化により、ターゲットのアルキルケトンができる、そんなカラクリなのでしょう。

んでα,β–不飽和ケトンの水素化、水素源はアルコールをアルデヒドに変換した際に出てきた水素を使うのが最もイージーで、水素の授受が効率よくできる触媒の設計が重要で、その候補の一つがこの論文にある鉄触媒ということかと。

なので、鉄触媒が水素をどう授受していくのかがどうしても気になります。鉄も青色光照射からラジカル反応をどうしてもイメージしてしまいます。ラジカル反応なのか、そしてそうであれば難しいラジカル反応をどうコントロールしているのか、いろいろ知りたいので、読みたい論文に追加しました。

August 15, 2022
クズの花の色は濃い
白だと思っていた。

 

 

読みたい論文シリーズ− 2022年3Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します(2022年7〜9月)。

2022年3Qの記事一覧
お仕事関係の記事のリストです(2022年7〜9月)。

 

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

計算終わりました

CAS-RN: 4394-85-8
Chemical formula: C5H9NO2
Molecular weight: 115.13
HOMO (eV): –6.391
LUMO (eV): +0.770
Dipole moment (D): 2.835289
 

August 10, 2022
[読みたい論文] Vic-ジアミン化合物をアリルアミンから合成します
ジアステレオ選択性は。
Org. Lett. 2022, 24 (30), 5513–5518.

August 9, 2022
[読みたい論文] 二酸化炭素が脱離するもしないも溶媒次第
電子移動か水素移動か。
Org. Lett. 2022, 24 (29), 5376–5380.

August 8, 2022
[読みたい論文] Brønsted酸触媒を使って光学活性シクロヘキセノン化合物を合成します
共役付加と環化。
Org. Lett. 2022, 24 (29), 5334–5338.

August 5, 2022
[読みたい論文] ボロン酸触媒でポリオールの特定の位置のOH基をスルホニル化します
Graphical Abstractの構造式が。
Org. Lett. 2022, 24 (29), 5249–5253.

August 4, 2022
[読みたい論文] トリフルオロメチルアレーンのフッ素原子をケイ素原子に置き換えてホルムアミドと反応させてヘミアミナールにします
ケイ素-フッ素結合の強さを利用。
J. Am. Chem. Soc. 2022, 144 (29), 13032–13038.

 

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