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[読みたい論文] 芳香族スルホン酸にくっついている窒素原子を芳香環に移します

Viewed: 08:45:58 in July 17, 2025

Posted: August 16, 2022

Keywords: Fe; Boc; TFA; directing group; Phipps, Robert J.; 有機化学; ブログ

An Aminative Rearrangement of O-(Arenesulfonyl)hydroxylamines: Facile Access to ortho-Sulfonyl Anilines (Morrill, Charlotte; Gillespie, James E.; Phipps, Robert J.)
Angew. Chem. Int. Ed. 2022, 61 (33), e202204025.
URL (Doi): 10.1002/anie.202204025

 


o–スルホニルアニリン合成に関する論文のようです。o–アミノベンゼンスルホン酸とも。

July 5, 2021
[読みたい論文] アニリン化合物のベンゼン間のオルト位にアミノ基をくっつけます
ラジカル的機構。
J. Am. Chem. Soc. 2021, 143 (25), 9355−9360.

 

反応スキーム中のBocはtert–ブトキシカルボニル基。論文などによく現れる保護基の一つです。TFAはトリフルオロ酢酸。「酢酸」とあるのでナメてかかりがちですが結構強力な酸で、飛沫が皮膚に付着すると水疱ができます。アリに噛まれた時以上のチリチリとした痛さ。

基質はBoc基で保護されたヒドロキシルアミンで、さらにヒドロキシ基にスルホ基がくっついているというもの。鉄触媒とトリフルオロ酢酸により、窒素を中心とする原子団が芳香環のオルト位に転位するのだとか。

Graphical Abstractを見る限り、反応中にトリフルオロ酢酸によってBoc基が脱離、さらに鉄との電子の授受で発生したアンモニウムラジカルが芳香環に攻撃して芳香環炭素-窒素原子結合ができるようなのですが、例示されているラジカル種がどのように発生するのかは本文を読まないとどうにも。鉄が関わるからラジカル反応だろうというのはわかるのですが。

そんなわけで反応機構を知りたく、読みたい論文に追加しました。

オルト選択性は、配向基の効果でしょうね。

August 16, 2022
マタタビの実は甘くなかった
定点観測。

 

 

読みたい論文シリーズ− 2022年3Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します(2022年7〜9月)。

2022年3Qの記事一覧
お仕事関係の記事のリストです(2022年7〜9月)。

 

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

計算終わりました

Chemical formula: C28H18O8
Molecular weight: 482.44
HOMO (eV): –5.776
LUMO (eV): –1.928
Dipole moment (D): 0.040471
 

August 15, 2022
[読みたい論文] 鉄触媒でケトンのメチル基を長くします
アルコールと鉄触媒。
Org. Lett. 2022, 24 (30), 5584–5589.

August 10, 2022
[読みたい論文] Vic-ジアミン化合物をアリルアミンから合成します
ジアステレオ選択性は。
Org. Lett. 2022, 24 (30), 5513–5518.

August 9, 2022
[読みたい論文] 二酸化炭素が脱離するもしないも溶媒次第
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Org. Lett. 2022, 24 (29), 5376–5380.

August 8, 2022
[読みたい論文] Brønsted酸触媒を使って光学活性シクロヘキセノン化合物を合成します
共役付加と環化。
Org. Lett. 2022, 24 (29), 5334–5338.

August 5, 2022
[読みたい論文] ボロン酸触媒でポリオールの特定の位置のOH基をスルホニル化します
Graphical Abstractの構造式が。
Org. Lett. 2022, 24 (29), 5249–5253.

 

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