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[読みたい論文] ピリジンを非芳香族化してアリール基を位置選択的にくっつけます

Viewed: 11:02:27 in July 9, 2025

Posted: June 27, 2024

読みたい論文シリーズ− 2024年2Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します。読んでないので時々間違えます(2024年4〜6月)。

 

Keywords: C–H bond activation; Cu; carbon–carbon bond formation; https://nanoniele.jp/?id=7452211411251310; DTBP; DMAD; MP; Studer, Armido

Meta-Selective Copper-Catalyzed C−H Arylation of Pyridines and Isoquinolines through Dearomatized Intermediates (Guo, Shu-Min; Xu, Pengwei; Studer, Armido)
Angew. Chem. Int. Ed. 2024, 63 (26), e202405385.
URL (Doi): 10.1002/anie.202405385

 


位置選択的な炭素-炭素結合形成に関する論文のようです。

July 10, 2023
[読みたい論文] 光照射下で進むアレーンのアシル化は位置選択性が違う
触媒反応いけるんか。
Angew. Chem. Int. Ed. 2023, 62 (27), e202303222.

 

ピリジン化合物の非芳香族化を経由するアリール化(アルケニル化も)。ピリジンの3–位又は5-位の炭素-水素結合が切断され、アリール基(又はアルケニル基)が結合した化合物が生成します。

上の反応スキームの、これがピリジン化合物なのかと言いたくなるほどにカルボニル基やらメトキシ基やらくっついている化合物は、下の反応スキームの通りピリジン化合物をアセチレンジカルボン酸ジメチルとピルビン酸メチルから合成されています。


そしてこの化合物の反応相手、つまりアリール化剤はジアリールヨードニウム塩。これを銅触媒下で反応させるとピリジン環(だったところ)の特定の位置にアリール基が導入されるとのこと。「ジアリール」ヨードニウム塩のどっちのアリール基が反応するのか気になるところですが、片方が嵩高いアリール基だともう一方がというのは想像がつきます。傘高くない場合には、ヨードニウムイオンに対してアピカル側にあるアリール基が反応すると想像しますが、実際にはどうでしょう。

そんなわけでその辺りを知りたく、読みたい論文に追加しました。

DTBP、この論文のじゃないやつに色々やられまくった私です。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

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