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[読みたい論文] エノラートが芳香環を求核的に攻撃します

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Posted: September 8, 2022

Keywords: nucleophilic aromatic substitution; carbon-carbon bond formation; NaHMDS; Chatani, Naoto; 有機化学; ブログ

Nucleophilic aromatic substitution of non-activated aryl fluorides with aliphatic amides (Matsuura, Akihisa; Ano, Yusuke; Chatani, Naoto)
Chem. Commun. 2022, 58 (71), 9898–9901.
URL (Doi): 10.1039/D2CC02999E

 


芳香族求核置換に関する論文のようです。

October 21, 2020
アミドN–H結合と芳香環C–F結合を切断してイソキノリノンを作ります
ニッケル触媒下、配位子不要。
J. Am. Chem. Soc. 2020, 142 (41), 17306−17311.

 

フルオロ基が脱離基。論文のセールスポイントは、カルボン酸アミドのエノラートがフッ化アリールと反応することにあるのでしょうか。

Graphical Abstractにある反応スキームのNaHMDSの構造は上の通りで、嵩高いトリメチルシリル基を持つナトリウムアミド。塩基として機能し、カルボン酸アミドのα–炭素に結合している水素原子をプロトンとして引き抜きます。dioxaneにはいくつかの異性体がありますが、溶媒として使用されるのは1,4–ジオキサン。

酸-塩基反応と芳香族求核置換の組み合わせですので、反応に適用できない性質の基質もありますが、フルオロベンゼンもきちんと反応するあたりはさすがです。

気になるのは反応機構。DFT計算で間体や遷移状態が推定されています。この反応の鍵になる構造が何なのか知りたいので、読みたい論文に追加しました。

September 8, 2022
シマトウガラシも繁盛
水切れ対策も完璧。

 

 

読みたい論文シリーズ− 2022年3Q
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この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

計算終わりました

Chemical formula: C5H6O4
 

September 7, 2022
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