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[読みたい論文] メチルエステルをメチルケトンにします

Viewed: 21:44:41 in June 25, 2025

Posted: May 15, 2023

読みたい論文シリーズ− 2023年2Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します。読んでないので時々間違えます(2023年4〜6月)。

 

Keywords: carbon–carbon bond formation; LiHMDS; transition metal free; Fier, Patrick S.

The Direct Conversion of Esters to Ketones Enabled by a Traceless Activating Group (Fier, Patrick S.; Roberts, Riley A.; Larson, Reed T.)
Org. Lett. 2023, 25 (17), 3131–3135.
URL (Doi): 10.1021/acs.orglett.3c00992

 


直接的官能基変換に関する論文のようです。

August 24, 2022
[読みたい論文] 安定な基質でシクロプロパン骨格を構築します
カルベンなのかカルベノイドなのか。
J. Am. Chem. Soc. 2022, 144 (32), 14471–14476.

 

メチルエステルとメチルスルフィン酸塩の反応。Graphical Abstractにはありませんが、反応に塩基(LiHMDS)が使用されています。二酸化硫黄が脱離するとありますが、実際のところどうなんでしょうか。

この反応について理解するのを難しくしているのが、反応させる2つの化合物がメチル基であること。どちらかの基質を13CH3にして反応させればわかるのではとSupporting Informationを見ました。LiHMDSがどう関わるのかもなんとなく読み取れます。メチルスルフィン酸塩のメチル水素をプロトンとして引き抜くのですね。それにより発生した炭素陰イオンがメチルエステルのカルボニル炭素を攻撃してメチルエステル由来のメトキシ基が脱離、そんなところでしょうか。二酸化硫黄の脱離は酸での後処理の段階でか。

著者さんたちが推定する反応機構が予想通りなのか別物なのかを知りたいので、読みたい論文に追加しました。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

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