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[読みたい論文] アミンオキシドとアルケンで[3+2]環化付加

Viewed: 02:29:21 in July 6, 2025

Posted: August 28, 2024

読みたい論文シリーズ− 2024年3Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します。読んでないので時々間違えます(2024年7〜9月)。

 

Keywords: annulation; carbon–carbon bond formation; LDA; cycloaddition; Montgomery, Thomas D.

Diastereoselective [3 + 2] Cycloaddition between Tertiary Amine N-Oxides and Substituted Alkenes to Access 7-Azanorbornanes (Cocolas, Alexander H.; Lane, Aiden M.; Musiak, Benjamin S.; Chartier, Eric J.; Bedillion, Derek A.; Hejnosz, Sarah L.; Rohde, Jeffrey J.; Lummis, Paul A.; Evanseck, Jeffrey D.; Montgomery, Thomas D.)
Org. Lett. 2024, 26 (31), 6546–6550.
URL (Doi): 10.1021/acs.orglett.4c02013

 


[3+2]環化付加に関する論文のようです。

July 12, 2023
[読みたい論文] [3+2]環化付加経由でエチレンジアミン化合物を合成します
塩酸処理はわかるけどなんでそれ使う。
Org. Lett. 2023, 25 (25), 4638–4643.

 

リチウムジイソプロピルアミド(LDA)存在下での5員環アミンN–オキシドとアルケンの反応。1,3–双極子付加により頭頂部が窒素原子のアザノルボルナン化合物が生成します。アルケンの置換基がendo側にあるジアステレオマーが優先して生成、ただしそれは置換基同士の立体的な反発が原因らしいとのこと。

アミンN–オキシドとLDAからどのようにして1,3–双極子付加を起こしうる中間体が発生するのか、気になりました。おそらくですが下のようにかと。ジリチオ化された中間体からOLiが脱離して右側のような構造のものができ、そいつとアルケンの環化付加が続いて起きると想像しますが、詳細は本文を読んで確認したいところ。


この反応、アルケンとの環化付加ですが、アルキンを反応させた場合の生成物て、ニトレン発生剤として使えないのでしょうか。すでに報告されているかもしれませんが、そのあたり何かヒントがあるかもと思い、読みたい論文に追加しました。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

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