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[読みたい論文] ヒドラゾンをヨウ素で酸化してカルボン酸にします

Viewed: 08:45:58 in July 17, 2025

Posted: October 18, 2024

読みたい論文シリーズ− 2024年4Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します。読んでないので時々間違えます(2024年10〜12月)。

 

Keywords: I; DMSO; TsNHNH2; Pilania, Meenakshi

Iodine/DMSO-catalyzed oxidative deprotection of N-tosylhydrazone for benzoic acid synthesis (Singhal, Rakshanda; Mehra, Manish K.; Malik, Babita; Pilania, Meenakshi)
RSC Adv. 2024, 14 (41), 30482–30486
URL (Doi): 10.1039/D4RA05849F

 


シッフ塩基酸化に関する論文のようです。

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[読みたい論文] 桂皮酸の炭素-炭素二重結合を切断してスルホキシイミンをくっつけます
なんか切れる。
J. Org. Chem. 2024, 89 (15), 10472–10484.

 

芳香族アルデヒド由来のヒドラゾンとヨウ素の反応。溶媒はDMSOですが、DMSO自身も反応に関与するようです。生成物は安息香酸化合物。

わざわざヒドラゾンを経由しなくてもアルデヒドとヨウ素から行かれんか?と思ったりもしたのですが、流石に直接は無理のようで、ヒドラゾンであることに何かしらの意味があるようです。アルジミンだといけるのだろうか。オキシムだと?

著者さんたちが提唱する反応機構(の一部)は下の通り。ヨードニウムイオンにヒドラゾンの窒素原子が配位してイミニウムイオンになって、イミニウム炭素を水分子が求核的に攻撃、その後ヨウ化水素が脱離、さらに異性化してカルボン酸アミドになり、加水分解で生成物に至る、と。


気になるのは水の出所。ヨウ化水素とDMSOが反応してヨウ素と水とジメチルスルフィドになるのはなんとなくわかるのですが、最初の水はとなると、溶媒中の水分なんじゃないかと。DMSO/水溶媒系での反応の例がないか確認したいところ。他、反応の適用範囲についても、芳香族アルデヒド由来のヒドラゾンだけでなく、脂肪族アルデヒド由来のについても、エナミンになりがちだから除外したのか、やったけどうまくいかなかったのか、どうなんだろ。

そんなわけで色々知りたくて、読みたい論文に追加しました。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
今はその名ではない、某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
Xアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

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