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[読みたい論文] トリフルオロメチルプロパルギルアルコールをアルキニルケトンと求核剤から合成します

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Posted: January 8, 2025

読みたい論文シリーズ− 2025年1Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します。読んでないので時々間違えます(2025年1〜3月)。

 

Keywords: TMSCN; HBPin; hydroboration; carbon–carbon bond formation; transition metal free; Sau, Abhijit; Panda, Tarun K.

Facile access to trifluoromethyl propargyl alcohol by metal-free transfer hydrogenation and cyanation of alkynyl ketones (Kisan, Devadkar Ajitrao; Paul, Ishita; Dey, Soumyadip; Sau, Abhijit; Panda, Tarun K.)
Org. Biomol. Chem. 2025, 23 (1), 197–201
URL (Doi): 10.1039/D4OB00844H

 


トリフルオロメチル基のあるプロパルギルアルコール合成に関する論文のようです。

April 7, 2022
[読みたい論文] 作った亜鉛錯体が二酸化炭素のヒドロホウ素化の触媒に使えます
ヒドロシリル化もいけます。
Chem. Commun. 2022, 58 (26), 4188–4191.

 

アルキニルトリフルオロメチルケトンとトリメチルシリルシアニド又はピナコールボランの反応。トリフルオロメチル基を持つプロパルギルアルコールが生成します。反応に金属触媒が不要であることが、この論文の反応のセールスポイントのようです。

Graphical Abstractを見ると反応にシリカが必要&反応溶媒がメタノールでありそうなイメージがあり、私もそう思って上の反応スキームを描いたのですが、Supporting Informationを見て驚きました。なんとこの反応、2段階。まず無溶媒でのアルキニルトリフルオロメチルケトンと求核剤の反応、その後シリカとメタノールというもの。後から反応スキームを見直すと…確かに両ステップに反応温度と時間が。すんません。

反応の様相をきちんと理解した上で気になったのがシリカの役割。前半の反応で生成したシリルエーテルやボリルエーテルを分解してターゲットのアルコールにするためと直感的には思われますが、反応後の後処理、具体的にはカラムクロマトグラフィでの生成物の単離のことも想定してなのかも。使われるシリカやメタノールの量がわからないことにはどうにも。

そしてもうひとつ。この反応、この基質に限らず無溶媒なら無触媒でいけるのではと。だとするとセールスポイントがわからなくなります。というわけで、この論文、どう理解すればいいのかわからないので、読みたい論文に追加しました。わからないから、読みたい。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
今はその名ではない、某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
Xアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

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