Archive|Nanoniele|MakiokaFufudo

 

[読みたい論文] ナフタレンの芳香族性を壊してエポキシドにします

Viewed: 14:18:32 in July 8, 2025

Posted: July 8, 2025

読みたい論文シリーズ− 2025年3Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します。読んでないので時々間違えます(2025年7〜9月)。

 

Keywords: Mn; hydrogen peroxide; asymmetric synthesis; d.r.; ee; Costas, Miquel

Manganese-Catalyzed Enantioselective Dearomative Epoxidation of Naphthalenes with Aqueous Hydrogen Peroxide (Afailal, Najoua Choukairi; Chan, Siu-Chung; Costas, Miquel)
Angew. Chem. Int. Ed. 2025, 64 (26), e202504356.
URL (Doi): 10.1002/anie.202504356 


エポキシ化に関する論文のようです。

April 24, 2025
[読みたい論文] ホスホニウム塩とニッケルでアルコールを段階的に脱酸素シリル化します
アルコールを臭化物に変換。
Org. Lett. 2025, 27 (14), 3686–3690.

 

光学活性マンガン錯体/アミノ酸触媒下でのナフタレンのエポキシ化。反応はジアステレオ&エナンチオ選択的に進み、anti–型(と言っていいのかな)のジエポキシドが生成します。副生成物はモノエポキシドやナフトキノンなど。芳香族性を壊すほどのパワフルさとエポキシドに留まる繊細さの両方を持つ触媒系が、セールスポイントの一つでしょうか。

触媒として使用するマンガン錯体にはOSO2CF3基が結合しており、これが脱離しやすイノで反応系中でマンガンカチオン種が発生していると想像しています。そこにTBHPやアミノ酸が反応してどのような反応場になるのか、オキソマンガン種ができているのではと思ったりもしますが、どうなのでしょう。それにしてもこんなでっかい4座の配位子がとさらに酸素源が結合しているマンガン金属なのに、ナフタレンが配位する余地があるの、すごいなと思いますし、きちんとエナンチオ面選択がなされるのもこれまたへぇと感心するばかりです。

そんなマンガン錯体と共に使われるアミノ酸の効果が気になります。どういう経緯で使用されることになったのか。系中で過酸でも作っているのかいなと勝手なことを考えたりもしますが多分違うでしょうね。

その辺りを知りたいので、読みたい論文に追加しました。後でじっくり見たいと思います。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
今はその名ではない、某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
Xアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

この記事を書いた人の日常

 
牛たん定食 とろろ付

 

あわせてどうぞ

2025年3Qの記事一覧
記事のリストです(2025年7〜9月)。

 

July 7, 2025
[読みたい論文] パラジウム触媒でカルボン酸のβ–メチル炭素を部分酸化します
アルコールで止める。
Org. Lett. 2025, 27 (25), 6551–6556.

July 4, 2025
[読みたい論文] 超原子価ヨウ素酸化剤でキノリンオキシドを作ります
ケトンのオキシムから。
J. Org. Chem. 2025, 90 (24), 8145–8151.

July 3, 2025
[読みたい論文] ヒドロキシエナミノンのエナミノン部位が脱離してビアリールジオールができます
脱離基がこいつである必要性。
Org. Lett. 2025, 27 (24), 6368–6373.

July 2, 2025
[読みたい論文] 1,3–ジカルボニル化合物の真ん中をヒドロキシルアミン化合物でアミド化します
カモがネギ背負ってやってくる。
Org. Lett. 2025, 27 (24), 6380–6384.

July 1, 2025
[読みたい論文] フェナントレンが外れてアレン
光で。
J. Org. Chem. 2025, 90 (24), 8429–8433.

 

この日によく読まれた記事

(1) [読みたい論文] ひと手間加えて難しい付加反応をやりやすくします

(2) ブテンの4つの異性体の中でどれが一番安定か計算しました

(3) [読みたい論文] ナフタレンの芳香族性を壊してエポキシドにします

(4) [読みたい論文] 無水コハク酸がDiels–Alder型反応でフェノールになります

(5) cis/trans-1,4-ジメチルシクロヘキサンのどっちの異性体が安定か計算しました

(6) [読みたい論文] アルキンとアルケンとトリフルオロメタンスルホン酸のトリフルオロメチル基をくっつけます

(7) H4Oの構造が見つかった(ただしですね

(8) 読みたい論文シリーズ− 2025年3Q

(9) ジメチルシクロヘキサンのどの構造が安定か計算で調べました

(10) [Macのメモリ8GBじゃ足りない論争] Webブラウザのキャッシュの蓄積の方が害あり

 

注目のWebコンテンツ

New 10 terms (July 8, 2025)
(Nanoniele)
https://nanoniele.blogspot.com...

フロリゲン通り道制御する仕組み発見 ──適切な環境花を咲かせ巧妙仕組み──
(東京大学)
https://www.c.u-tokyo.ac.jp/in...

との同居死んだふり長くする~5世代見られた迅速進化反応
(岡山大学)
https://www.okayama-u.ac.jp/up...

消す結晶ジャンプする新現象発見、2つの刺激相乗効果実現
(静岡大学)
https://www.shizuoka.ac.jp/cms...

語彙知識洗練することで、より流暢英語単純な意味とのつながりから実践使える柔軟単語
(東北大学)
https://www.tohoku.ac.jp/japan...

1個の微弱最適化問題解ける計算機原理提案デジタルハイブリッドコンピューティングにおける大きな進展期待
(東北大学)
https://www.tohoku.ac.jp/japan...

多様性同調」が集団をより強くする ハエ行動から探る群れ」の遺伝基盤
(千葉大学)
https://www.chiba-u.ac.jp/news...

左右ゆらぎ」が千万進化語る進化進化つなぐ新たな理論
(千葉大学)
https://www.chiba-u.ac.jp/news...

本邦初:高齢者のうつ症状便秘症状関連することを国際的広く用いられている評価スケール用いて確認
(順天堂大学)
https://www.juntendo.ac.jp/new...

消す結晶ジャンプする新現象発見、2つの刺激相乗効果実現
(高知工科大学)
https://www.kochi-tech.ac.jp/d...

計算化学駆使してケトン新規光触媒機能発見カルボン酸新たな分子変換技術医薬品探索研究推進
(静岡県立大学)
https://www.u-shizuoka-ken.ac....

長期観測データ統合解析から 2022までのメタン濃度変動明らかに —国環研と協力機関による日本独自観測貢献
(国立環境研究所)
https://www.nies.go.jp/whatsne...

アジア低緯度域からの放出増加により 大気メタン濃度急上昇(2020–2022) —多様なプラットフォーム観測データ活用した放出推定
(国立環境研究所)
https://www.nies.go.jp/whatsne...

サブ・サハラアフリカコメ生産技術改善!! 「肥料×灌漑増収」の常識覆す新たな発見
(三重大学)
https://www.mie-u.ac.jp/R-navi...

植物体内への輸送リアルタイム監視する 「植物刺入型多酵素センサ」を開発
(早稲田大学)
https://www.waseda.jp/inst/res...

薬局薬剤師べて病院薬剤師初任給月給)は約4万円低い薬学部6年制移行への対処格差拡大初任給格差改善急務
(東邦大学)
https://www.toho-u.ac.jp/press...

革新的な制御技術さらなる安定性性能実現次世代コントローラ―設計手法提案
(兵庫県立大学)
https://www.u-hyogo.ac.jp/news...

人工甘味料腸炎悪化させる仕組みを解明腸内細菌免疫細胞連動する新たな炎症経路特定
(慶應義塾大学)
https://www.keio.ac.jp/ja/pres...

地域課題解決向けて観光商品タク観光バス共同開発高校生×大学生 描く飛騨高山」を発売
(岐阜大学)
https://www.gifu-u.ac.jp/about...

積層複合材料開孔強度最大化する積層構成設計のための、ベイズ最適化フレームワーク構築主観的ベイズ更新モデル提案
(大阪公立大学)
https://www.omu.ac.jp/info/res...

柔らかい物質堅い物質混ぜる強靭物質できる理由理論数値解明多様な強靭材料開発への貢献期待
(富山大学)
https://www.u-toyama.ac.jp/wp/...

胚盤胞補完法用いてマウス体内受精可能ラット精子作製することに成功遺伝子改変ラット作製がより低コストに、より容易に-
(新潟大学)
https://www.bri.niigata-u.ac.j...

人工甘味料腸炎悪化させる仕組みを解明腸内細菌免疫細胞連動する新たな炎症経路特定
(北里大学)
https://www.kitasato.ac.jp/jp/...

消す結晶ジャンプする新現象発見 、2つの刺激相乗効果実現
(東京科学大学)
https://www.isct.ac.jp/ja/news...

新規窒化物半導体ヘテロ接合における電子散乱機構解明 ――高周波 GaN トランジスタ性能向上に道――
(科学技術振興機構)
https://www.jst.go.jp/pr/annou...

多様性同調」が集団をより強くする ハエ行動から探る群れ」の遺伝基盤
(科学技術振興機構)
https://www.jst.go.jp/pr/annou...

BlueMemeと共同研究進める九州大学研究グループネットワーク構造の”見えない違い”を可視化する新技術を開発
(九州大学)
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/6...

サブ・サハラアフリカコメ生産技術改善!! 「肥料×灌漑増収」の常識覆す新たな発見
(名古屋大学)
https://www.nagoya-u.ac.jp/res...

構造材料データベース自動×高速生成システム開発成功大規模データセット構築を7から"13"に。合金開発加速期待
(物質・材料研究機構)
https://www.nims.go.jp/press/2...

見せない安心感”が支援カギVR行う匿名対話もたらす心理的変化
(横浜市立大学)
https://www.yokohama-cu.ac.jp/...

倦怠感生物学的メカニズム解明機械学習により予測マルチオミクス解析による倦怠感バイオマーカー発見個別化医療への新展開
(横浜市立大学)
https://www.yokohama-cu.ac.jp/...

計算化学駆使してケトン新規光触媒機能発見カルボン酸新たな分子変換技術医薬品探索研究推進
(北海道大学)
https://www.hokudai.ac.jp/news...

柔らかい物質堅い物質混ぜる強靭物質できる理由理論数値解明多様な強靭材料開発への貢献期待
(北海道大学)
https://www.hokudai.ac.jp/news...

日本診断参考レベル(2025)」を公表放射線検査による患者被ばく線量低減向け次のステージへ ―
(量子科学技術研究開発機構)
https://www.qst.go.jp/site/pre...

 

略語を登録しました

ORC
organic redox couple
ILM
ionic liquid monomer
PCI
percutaneous coronary intervention
CLSP
chymotrypsin-like serine protease
ARP
aldehyde reactive probe
LGG
low-grade glioma
HGG
high-grade glioma
NISA
nonsolvent-induced self-assembly
IRE
interfacial resonant exciplex

学問・科学ランキング 科学ランキング 自然科学ランキング 化学ランキング