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[読みたい論文] 1,3–ジカルボニル化合物の真ん中をヒドロキシルアミン化合物でアミド化します

Viewed: 10:39:47 in July 2, 2025

Posted: July 2, 2025


 

Keywords: nickel; Cp; PhSiH3; Bz; Stoltz, Brian M.

Direct, Convergent α-Amidation of β-Keto Esters via Nickelocene Catalysis (Sharp, Kimberly R.; Siddiqui, Sara Y.; Nikas, Emily G.; Stoltz, Brian M.)
Org. Lett. 2025, 27 (24), 6380–6384.
URL (Doi): 10.1021/acs.orglett.5c01621 


アミノ化に関する論文のようです。より狭くはアミド化。

August 2, 2023
[読みたい論文] ニッケル触媒下でアミド窒素とアミン窒素が繋がります
Xてなんだろう。
J. Am. Chem. Soc. 2023, 145 (28), 15071–15077.

 

ニッケル触媒下での1,3–ジカルボニル化合物と。N–ベンゾイロキシアミドの反応1,3–ジカルボニル化合物の「真ん中の炭素」にアミドの窒素原子が結合した構造の化合物が生成します。

1,3–ジカルボニル化合物のアミノ化については別記事で紹介しましたが、1,3–ジカルボニル化合物のエノラート、又はエノール互変異体に対しては形式的には窒素陽イオン(アンモニウムイオンではない)が反応する必要があり、酸化剤を反応系中に存在させるなどの工夫により反応が実現しています。この論文の反応ではアミノ化剤がヒドロキシルアミン誘導体であり、そのものが酸化剤としての役割も果たしてる、というわけです(アミンとかアミド基準で見ればですが)。

June 30, 2023
[読みたい論文] アルキン環化でアリールボロン酸化合物を作ります
分子内もあるけど3量化。
Chem. Commun. 2023, 59 (50), 7759–7762.

 

反応に使用されているリチウムアルコキシドはさておき、フェニルシランの役割がよくわかりません。パッと思いついたのは1,3–ジカルボニル化合物のシリルエノラートの形成ですが、正確なところは本文を見ないとなんとも。そしてSupporting Informationにあったラジカル補足剤の存在下での反応。下の構造の化合物を生成が確認されたのだとか。ニッケル触媒だからラジカル機構はわからなくもない。


そんなわけで反応機構を知りたくて、読みたい論文に追加しました。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
今はその名ではない、某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
Xアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

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