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[読みたい論文] 超原子価ヨウ素酸化剤でキノリンオキシドを作ります

Viewed: 07:33:20 in July 4, 2025

Posted: July 4, 2025


 

Keywords: annulation; PIFA; TFE; oxidative cyclization; Ngamnithiporn, Aurapat

Synthesis of Isoquinoline N-Oxides via Hypervalent Iodine-Mediated Oxidative Cyclization of Ketoximes with Alkenes (Ngamnithiporn, Aurapat; Chuentragool, Padon; Punnita, Supakarn; Thitseesaeng, Wachirawit; Sirichai, Teesuda; Harada, Shinji; Nemoto, Tetsuhiro; Ploypradith, Poonsakdi; Ruchirawat, Somsak)
J. Org. Chem. 2025, 90 (24), 8145–8151.
URL (Doi): 10.1021/acs.joc.5c00488 


酸化的環化に関する論文のようです。

June 27, 2022
[読みたい論文] 二酸化硫黄の脱離を経てキノジメタンを発生させます
ヘテロ環構築に利用。
Org. Lett. 2022, 24 (23), 4192–4196.

 

ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨードベンゼン酸化剤による、アルケニル基とケトオキシム(ケトキシムとも)部位を持つアレーンの環化。キノリン–N–オキシド化合物が生成します。アルケニル基の炭素に結合している水素原子とケトオキシムのOH水素が脱離した格好。反応に際して遷移金属などの触媒が不要であることが、反応のセールスポイントである模様。

Graphical Abstractにはキノリン骨格ができる旨描かれていますが、5員環のイソインドールなど、基質によっては異なる骨格を持つ化合物が生成するようです。また、アルケニル基ではなくアリル基がベンゼン環に結合している気質の場合には、下の反応スキームのように7員環骨格のものができるのだとか。


一体何がどうなって「環サイズ」が決まるのか興味があったので、読みたい論文に追加しましたが、果たして本文中に反応機構が描かれているのだろうか。

J. Org. Chem.といえばフルペーパーが掲載されているわけですが、ページのサイズがレターを掲載するOrg. Lett.と大差なくなってきているような気がします。Supporting Informationも大きな違いがない印象。新奇で速報性があれば後者なのでしょうが、J. Org. Chem.に投稿するメリットって、どうなんだろう。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
今はその名ではない、某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
Xアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

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