科学略号の検索サイト「なのに〜る」
約66,000語登録

 
Kiyokawa, Kensuke
 

 

- 位置選択性にも注目。 -

(April 19, 2023)

読みたい論文シリーズ− 2023年2Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します。読んでないので時々間違えます(2023年4〜6月)。

 

Keywords: BrCN; TFPB; carbon–carbon bond formation; umpolung; Kiyokawa, Kensuke; Minakata, Satoshi

Tris(pentafluorophenyl)borane-Catalyzed Stereospecific Bromocyanation of Styrene Derivatives with Cyanogen Bromide (Kiyokawa, Kensuke; Noguchi, Ikumi; Nagata, Takaya; Minakata, Satoshi)
Org. Lett. 2023, 25 (14), 2537–2542.
URL (Doi): 10.1021/acs.orglett.3c00727

 


多分違うのでしょうが、シアンの極性変換に関する論文のようです。

March 14, 2023
[読みたい論文] スルホン酸シアニドを使ってアルケンのオキシシアノ化
そのジアステレオ選択性はどこから。
Angew. Chem. Int. Ed. 2023, 62 (12), e202218743.

 

スチレン化合物と臭化シアンの反応。ペンタフルオロフェニル基が3つ結合したホウ素化合物がルイス酸触媒として機能します。

反応の特徴のひとつが立体選択性。攻撃面が特異的。アルケンへの求電子付加といえば教科書的にはanti–付加ですが、この論文の反応ではsyn–付加、つまりブロモ基とシアノ基がアルケンの同じ面側からくっつくのだとか。それを可能にするのが臭化シアンのホウ素ルイス酸への配位なのでしょうが、付加反応にどう関わるのかは、本文を読まないと細かいところがわからなさそう。

Supporting Informationにはその臭化シアン-ホウ素ルイス酸錯体(複合体かも)のものと思われるスペクトルが数種類あって、赤外吸収のものについては臭化シアンの炭素-窒素三重結合由来の吸収がホウ素ルイス酸への配位によって高波数側へシフトする模様。13C NMRスペクトルの臭化シアンのピークも低磁場側へシフトしていて、両スペクトルから臭化シアンの炭素が…


臭素原子よりも電気的に陽性なのではと思ったり。

そう考えると反応の「位置」選択性、スチレン化合物の末端側にシアノ基が結合、ベンジル炭素側にブロモ基が結合した化合物が生成するのも矛盾しないんですよね。

その辺りどうなっているのか知りたいので、読みたい論文に追加しました。もちろんsyn–付加のメカニズムも。

(続きを読む)

 

[読みたい論文] スルホン酸シアニドを使ってアルケンのオキシシアノ化
そのジアステレオ選択性はどこから。
Angew. Chem. Int. Ed. 2023, 62 (12), e202218743.
 
 
最近の記事
July 17, 2025
位置も数も。
Chem. Commun. 2025, 61 (55), 10178–10181.
July 16, 2025
なぜか直接行かない。
Org. Lett. 2025, 27 (26), 7106–7110.
July 14, 2025
親電子置換もいける。
Org. Lett. 2025, 27 (25), 6566–6570.
July 11, 2025
1,2–付加でのアリルアルコール経由で。
Org. Lett. 2025, 27 (25), 6557–6560.
July 9, 2025
元の化合物はキラルかアキラルか。
Angew. Chem. Int. Ed. 2025, 64 (27), e202506929.
July 8, 2025
立体選択的に。
Angew. Chem. Int. Ed. 2025, 64 (26), e202504356.
July 7, 2025
アルコールで止める。
Org. Lett. 2025, 27 (25), 6551–6556.
 
最近よく読まれています
 
定番の記事
November 15, 2020
メチル基同士間の距離か結合の方向か。
January 25, 2020
ローカルな言葉を中心に。
更新しました(6 March, 2020)
July 14, 2020
教科書にも載っているアルケン異性体の熱力学的安定性
June 8, 2021
アルキン、アレン、ジエン、シクロアルケンなど。
March 11, 2016
分子ではないですよ。
(c) Nanoniele, 2003-
The domain name we own is "nanoniele.jp". We have nothing to do with other domains containing "nanoniele", except "nanoniele.blogspot".

上の化学平衡について、ΔG値からAとBの濃度比を計算します。
(※有効数字は考慮しません)
ΔG =
Temp = K