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[読みたい論文] でっかいピリジンアニオンが配位したタイムリーな金属錯体

Viewed: 21:46:02 in June 25, 2025

Posted: September 13, 2024

読みたい論文シリーズ− 2024年3Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します。読んでないので時々間違えます(2024年7〜9月)。

 

Keywords: Cu; Ag; Au; lanthanoid; Dias, H. V. Rasika

Coinage Metal Complexes of a Sterically Encumbered Anionic Pyridylborate (Vanga, Mukundam; Muñoz-Castro, Alvaro; Dias, H. V. Rasika)
Chem. Eur. J. 2024, 30 (48), e202401204
URL (Doi): 10.1002/chem.202401204

 


金属錯体の合成と構造に関する論文のようです。

January 23, 2023
[読みたい論文] ナイロンを希土類触媒で分解して環状アミドにします
サイズが物を言う。
Angew. Chem. Int. Ed. 2023, 62 (4), e202212543.

 

嵩高い置換基やらなんやら結合したピリジンが配位した、オリンピックイヤーだからかはわかりませんが金/銀/銅錯体。このピリジンというのがかなり特殊で、通常のピリジン配位子というのは中性なのですがこの論文のはアニオン。ピリジン環に結合しているボリル基が鍵で、ホウ素原子から手が4本。ホウ素アニオンを持つ中性の窒素系配位子という表現もできそうです。

んで金銀銅の金属錯体、下のような方法で合成しているようですが、正確なところは本文を読まないとよくわかりません。描いてはみたものの、カリウムが窒素原子に結合しているのか、離れているのか、どっちだろ。


要旨テキストには、錯体の金属-リンや金属-窒素の結合距離については銀錯体のものが最も長く、銅のが一番短いとあります。原子番号は銅→銀→金と大きくなるのに銀が長いとはとなりそうですが、その傾向とは異なる理由、気になります。ランタノイド収縮とか関係あるのでしょうか。

というわけで、要旨やSupporting Informationだけでは研究の全体像を掴みにくいので、読みたい論文に追加しました。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

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