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[読みたい論文] ラジカル的なアルキンのヒドロアリール化

Viewed: 21:51:59 in June 25, 2025

Posted: September 18, 2024

読みたい論文シリーズ− 2024年3Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します。読んでないので時々間違えます(2024年7〜9月)。

 

Keywords: hydroarylation; carbon–carbon bond formation; visible light photoredox catalysis; transition metal free; Sasidhar, B. S.

A selective photoinduced radical O-alkenylation of phenols and naphthols with terminal alkynes (Praveen Kumar, V.; Athira, C. S.; Mohan, B.; Priya, S.; Sasidhar, B. S.)
Chem. Commun. 2024, 60 (72), 9813–9816
URL (Doi): 10.1039/D4CC02555E

 


アルキンのヒドロアリール化に関する論文のようです。アレーンのヒドロアルケニル化とも。

May 31, 2024
[読みたい論文] 位置選択性がユニークなアルケンのヒドロアリール化
ルイス酸か遷移金属か。
J. Am. Chem. Soc. 2024, 146 (20), 13697–13702.

 

ピリリウム塩を触媒とする、フェノール(ナフトールと言った方がいいかもしれない)類とアルキンの反応。フェノールのオルト位の炭素原子と、末端アルキンだと内部の方の炭素原子が結合した、o–アルケニルフェノールが生成します。位置選択性に関しては、プロトン酸やルイス酸触媒下での反応と同じ、か。反応を見て頭に浮かんだのがフォトレジスト(多分関係ない)

反応のセールスポイントになりそうなもののひとつが、金属触媒を使用する必要がないこと。とはいえプロトン酸触媒下での反応がすでにありますし、安価で安全な金属塩を触媒とする例もあるでしょうから、それは少し押しが弱い。もうひとつの候補が反応がラジカル的であること。酸や金属を使うものとは異なる、反応の適用範囲が期待できそう。

んでそのラジカル機構、Supporting Informationに目をやるとラジカル捕捉剤下での反応の結果があり、フェノールが捕捉剤と結合した化合物が検出できた云々と書かれていました。ということは、アリールラジカルがアルケンを攻撃する?だとすると反応の位置選択性は…大丈夫かな。


そんなわけで著者さんたちが提唱する反応機構を知りたく、読みたい論文に追加しました。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

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