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methyl tert-butyl ether (MTBE)
 

 

- ラジカル反応となんか違う。 -

(October 13, 2022)

Keywords: [1.1.1]propellane; ring opening; NIS; DIH; MTBE; bicyclo[1.1.1]pentane; three-component coupling; Aïssa, Christophe; 有機化学; ブログ

Synthesis of Sulfur-Substituted Bicyclo[1.1.1]pentanes by Iodo-Sulfenylation of [1.1.1]Propellane (Livesley, Sarah; Trueman, Bethany; Robertson, Craig M.; Goundry, William R. F.; Morris, James A.; Aïssa, Christophe)
Org. Lett. 2022, 24 (38), 7015–7020.
URL (Doi): 10.1021/acs.orglett.2c02875

 


プロペランの結合開裂を経る三成分連結に関する論文のようです。

January 14, 2022
[読みたい論文] プロペラ分子の炭素原子をヨウ素で活性化します
極性変換
Angew. Chem. Int. Ed. 2022, 61 (2), e202111291.

 

チオフェノールをプロペランと反応させて硫黄原子が結合したビシクロブタン化合物を合成するラジカル反応は既に報告されているのですが、同じやり方でそのほかのヘテロアリールスルフィドを反応させるとうまくいかない。ラジカル反応ではなくてイオン的な求核/求電子攻撃を利用すれば反応したよというのが、この論文の主旨の模様。

著者さんたちが注目した、というか注目しているのがヨウ素カチオン。プロペランの片方の4置換炭素に求電子的に相互作用させ、もう片方の4置換炭素に求核材であるスルフィドを攻撃させれば、プロペランの「軸」の炭素-炭素結合が開裂、ヨード基とチオ基が結合したビシクロブタンが生成するというカラクリのようです。

それを実現するヨウ素カチオン源が、N–ヨードコハク酸イミド(NIS)。Graphical AbstractにもあるようにDIHも使えるようですが、本文をざっと見ただけではどんな場面でなのかはわからず。MTBEは反応溶媒ですね。一時ガソリンのアンチノッキング剤として注目されていましたが、有害性が指摘されて結局燃料としては使用されず。

気になるのはヨード基の使い道。水素原子に置き換えるのか、炭素-炭素結合形成に使うのか、そのあたりを知りたいので、読みたい論文に追加しました。

 

読みたい論文シリーズ− 2022年4Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します(2022年10〜12月)。

2022年4Qの記事一覧
お仕事関係の記事のリストです(2022年10〜12月)。

 

(続きを読む)

 

[読みたい論文] ヒドロホウ素化を介して内部アルケンを末端アルケンに変換します
熱力学的に不利な反応を速度論的手法で制御。
Org. Lett. 2022, 24 (4), 1005–1010.
[読みたい論文] 光学分割しながらやるカルボン酸とケトンの不斉[2+2]環化付加
要らないようで要るシリル基。
Angew. Chem. Int. Ed. 2022, 61 (38), e202208800.
[読みたい論文] アジドがどんどん入る酸化反応
ヨウ化アンモニウム塩触媒下で進みます。
Angew. Chem. Int. Ed. 2020, 59 (39), 17110−17117.
[読みたい論文] プロパルギルアルコールと一酸化炭素からラクトン骨格を作ります
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Angew. Chem. Int. Ed. 2020, 59 (48), 21585−21590.
 
 
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ΔG =
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