Archive|Nanoniele|MakiokaFufudo

 

[読みたい論文]ベンゼン環の構造異性体「ベンズバレン」の炭素がホウ素や窒素に置き換わったやつ

Viewed: 21:49:54 in June 25, 2025

Posted: September 25, 2024

読みたい論文シリーズ− 2024年3Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します。読んでないので時々間違えます(2024年7〜9月)。

 

Keywords: BN-aromatics; benzvalene; Dewar benzene; Suzuki–Miyaura coupling; Liu, Shih-Yuan

A BN-Benzvalene (Ozaki, Tomoya; Bentley, Sierra K.; Rybansky, Nina; Li, Bo; Liu, Shih-Yuan)
J. Am. Chem. Soc. 2024, 146 (36), 24748–24753
URL (Doi): 10.1021/jacs.4c08088

 


ヘテロアレーンに関する論文のようです

July 25, 2024
[読みたい論文] アザボラほぼベンゼンの異性体の歪みエネルギーをルイス酸で解放します
エネルギー貯蔵に。
Angew. Chem. Int. Ed. 2024, 63 (30), e202405818.

 

ベンゼン環の互いに隣接する2つの炭素がホウ素と窒素に置き換わった1,2–アザボリン化合物の光異性化。ベンゼンの構造異性体であるベンズバレン骨格の二重結合のところの炭素がホウ素と窒素になっている構造の化合物が生成します。窒素-ホウ素結合のところは「1本線」ですが、ホウ素の空軌道と窒素の非共有電子対で何らかの結合でも作るのでしょうか。

光励起でいきなりベンズバレンになるのではなく、下のようなDewarベンゼン様の構造を経由するのだとか。Graphical Abstractには中間体の構造のように描かれていますが、Supporting Informaitonには単離できる旨書かれていました。両方向か片方向か忘れましたが、BN–DewarベンゼンとBN–ベンゼンの間の異性化は既知ですね。


Supporting Informationを見ておぉ?と思ったのは、一部重水素化された1,2–アザボリン化合物の光異性化がなされていて、光異性化でどの炭素がBN–ベンズバレンのどれに相当するのかとか、多分調べてるんじゃないかと想像しています。その結果がどうなのか、どのようにしてそうなるのか、メカニズムが知りたいので、読みたい論文に追加しました。

1,2–アザボリン、ジヒドロが要るのか要らないのかがややこしい。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

 

あわせてどうぞ

2024年3Qの記事一覧
記事のリストです(2024年7〜9月)。

 

 

September 24, 2024
[読みたい論文]2価か?3価か?どっちだスカンジウムカルボニル
教科書的には安定なのは3価だが。
J. Am. Chem. Soc. 2024, 146 (36), 24770–24775.

September 20, 2024
[読みたい論文] ベンゾな含ホウ素3員環シクロプロペンと窒素-窒素二重結合の環拡大
芳香環は壊れなかった。
Chem. Commun. 2024, 60 (73), 9986–9989.

September 19, 2024
[読みたい論文] チオ尿素を硫黄源とするチオエステルの合成
まずどっちがラジカルになるか。
Angew. Chem. Int. Ed. 2024, 63 (37), e202407520.

September 18, 2024
[読みたい論文] ラジカル的なアルキンのヒドロアリール化
まずどっちがラジカルになるか。
Chem. Commun. 2024, 60 (72), 9813–9816.

September 17, 2024
[読みたい論文] フェニル基が移動するアルケニルホウ素化合物とモルホリンとアルデヒドの反応
狙い通りか偶然か。
Org. Lett. 2024, 26 (35), 7297–7301.

 

この日によく読まれた記事

(1) ジメチルシクロヘキサンのどの構造が安定か計算で調べました

(2) ブテンの4つの異性体の中でどれが一番安定か計算しました

(3) [お猿さん] 国道2号線沿いにある例の看板の意味

(4) アセチルアセトン、ケト型とエノール型のどちらが安定なのか計算しました

(5) [読みたい論文]ベンゼン環の構造異性体「ベンズバレン」の炭素がホウ素や窒素に置き換わったやつ

(6) MJ12botがよそ様の検索データを使ってアクセスしてくる件

(7) これをやらなきゃうまくいかない!USBメモリにmacOSをインストールして起動ディスクとして使う方法

(8) cis/trans-1,4-ジメチルシクロヘキサンのどっちの異性体が安定か計算しました

(9) [読みたい論文] 窒素からアンモニアを間接的に電気を使って作ります

(10) [読みたい論文] アミドの反応性をNMRで予測します

 

注目のWebコンテンツ

New 10 terms (September 25, 2024)
(Nanoniele)
https://nanoniele.blogspot.com...

水疱性類天疱瘡の発症に関与するタンパク質を解明~水疱性類天疱瘡に対する治療薬の開発に期待~
(北海道大学)
https://www.hokudai.ac.jp/news...

地上燃焼の理論でIa型超新星の爆発モデル検証―未だ謎の多い爆発シナリオに新しい目で迫る―
(京都大学)
https://www.t.kyoto-u.ac.jp/ja...

細胞の中で核が輸送される機構の解明 脳皮質の発生に重要
(京都大学)
https://www.icems.kyoto-u.ac.j...

「コロナ制圧タスクフォース」血漿タンパク質量の個人差に寄与するヒトゲノム配列を大規模に同定
(理化学研究所)
https://www.riken.jp/press/202...

AIによる精子評価システムを開発 医療現場のパソコンからクラウド接続なしで、リアルタイム精子評価が可能に!
(横浜国立大学)
https://www.ynu.ac.jp/hus/koho...

ウンチをしないオタマジャクシを新発見 ~生息環境を汚さない衛生戦略で生存率を上昇~
(名古屋大学)
https://www.nagoya-u.ac.jp/res...

老化進行や神経変性疾患などの発症メカニズムの解明へ オートファジーが開始する仕組みを解明 ULK1のパルミトイル化が鍵
(大阪大学)
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja...

がんの転移を調節するタンパク質Mdm2と新たな仕組みを発見 ~がんの新たな治療薬の開発につながる可能性~
(千葉大学)
https://www.chiba-u.ac.jp/news...

脳や目を持たないのに菌類は図形を識別しているのかもしれない
(東北大学)
https://www.tohoku.ac.jp/japan...

19億年前の微生物もリンを含む細胞膜を使っていた ―超高解像度の新手法によって初期生命の細胞膜の可視化に成功!―
(東京大学)
https://www.aori.u-tokyo.ac.jp...

2023年シーズン高病原性鳥インフルエンザウイルスの特徴
(農研機構)
https://www.naro.go.jp/publici...

アサガオの花の寿命を延ばす化合物を発見 - 花弁の老化調節因子を標的とした機能阻害化合物の選抜に成功 -
(農研機構)
https://www.naro.go.jp/publici...

水疱性類天疱瘡の発症に関与するタンパク質を解明 ~水疱性類天疱瘡に対する治療薬の開発に期待~
(かずさDNA研究所)
https://www.kazusa.or.jp/news/...

19億年前の微生物もリンを含む細胞膜を使っていた   超高解像度の新手法によって初期生命の細胞膜の可視化に成功!
(高知大学)
http://www.kochi-u.ac.jp/infor...

精子形成の新しいメカニズムを解明 〜tRNAの化学修飾が鍵〜
(国立遺伝学研究所)
https://www.nig.ac.jp/nig/ja/2...

「コロナ制圧タスクフォース」-血漿タンパク質量の個人差に寄与するヒトゲノム配列を大規模に同定-
(慶應義塾大学)
https://www.keio.ac.jp/ja/pres...

アサガオの花の寿命を延ばす化合物を発見~花弁の老化調節因子を標的とした機能阻害化合物の選抜に成功~
(愛媛大学)
https://www.ehime-u.ac.jp/wp-c...

世界中の地層から、1952 年頃に人の影響を示す痕跡の急増を発見! 人類が地球システムを圧倒し始める時点が初めて明らかに
(愛媛大学)
https://www.ehime-u.ac.jp/wp-c...

水電解用二極式電解槽および高効率触媒を開発 -昇温条件でも高活性な触媒、カーボンニュートラルに貢献-
(山口大学)
https://www.yamaguchi-u.ac.jp/...

“種とは何か”の分子基盤の解明へ 〜 利己的DNAによる「異種ゲノム間闘争」〜
(北里大学)
https://www.kitasato.ac.jp/jp/...

上皮細胞シートに生じた欠損を速やかに修復する仕組みの解明 アトピー性皮膚炎や炎症性腸疾患など上皮バリアの異常による病態の理解に繋がる知見
(九州大学)
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/5...

加齢に伴う筋萎縮と柔軟性低下を抑制する抗体を開発 治療法の開発による健康寿命の延伸に期待
(九州大学)
https://www.kyushu-u.ac.jp/f/5...

肥満の新しい調節メカニズム ――大腸の脂質代謝酵素による腸内細菌叢の変容が全身の代謝を変える――
(東京大学)
https://www.u-tokyo.ac.jp/cont...

精巣だけで発現するヒストン異型種の機能解析を可能にする新規のバイオリソースを開発
(基礎生物学研究所)
https://www.nibb.ac.jp/pressro...

医学部学生がアクチニン4(ACTN4)依存的な新たな細胞移動様式を発見!
(香川大学)
https://www.kagawa-u.ac.jp/act...

-絶滅危機に瀕したニホンライチョウの保全へ- 寄生虫から身を守る鍵の一つは高山植物にあった
(大阪公立大学)
https://www.omu.ac.jp/assets/a...

-絶滅危機に瀕したニホンライチョウの保全へ- 寄生虫から身を守る鍵の一つは高山植物にあった
(東京理科大学)
https://www.tus.ac.jp/today/ar...

レタスにおいて遺伝子組換えタンパク質の発現量を向上させる方法を確立
(筑波大学)
https://www.tsukuba.ac.jp/jour...

細菌のエネルギー産生機能を抑制! カンピロバクター属細菌に特異的に働く抗体を発見
(大阪公立大学)
https://www.omu.ac.jp/assets/a...

糖尿病を遠ざけるキネシン-1 分子モーター ――血糖調節の新たな細胞内機構――
(東京大学)
https://www.u-tokyo.ac.jp/cont...

認知症高齢者の口腔機能を検査する際、認知機能が一定以下の高齢者においては従来の検査方法の効果が低いことを発見
(広島大学)
https://www.hiroshima-u.ac.jp/...

口腔内の病変を超音波を用いて検査する方法を開発 ~身体への負担が少ない検査をめざして~
(広島大学)
https://www.hiroshima-u.ac.jp/...

西日本豪雨災害の被災小児で気管支喘息が増加:ビッグデータを用いた縦断分析
(広島大学)
https://www.hiroshima-u.ac.jp/...


学問・科学ランキング 科学ランキング 自然科学ランキング 化学ランキング