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Keywords: HMPT; HMPA; BTMG; TFA; ethyl benzoylformate; Maloney, Kevin M.; 読みたい論文シリーズ; 有機化学; ブログ
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スルホン酸アミドの硫黄−窒素切断反応に関する論文のようです。Graphical Abstractでは分かりにくいですが、単純な切断反応ではなくて、論文のタイトルにもありますが還元反応(脱酸素反応)でもあります。
上の反応スキームにもありますが、「素」の生成物はスルフィン酸です。Graphical Abstractにあるような硫黄−炭素結合形成反応を経るスルホンの生成は、スルフィン酸とハロゲン化アルキルの反応により生成するものですね。
要旨だけを見ていると単純な反応に思えそうですが、実際には多種類の反応剤が必要なようです。P(III)として使用されているのはヘキサメチル亜リン酸トリアミド(HMPT)でして、確かにこれは酸素取りの役割を果たすものです。HMPTの成れの果ては単純に考えればヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)で、これ、取り扱い要注意の化合物ではあります。リン酸にぶっ壊れるのかもですが。
その他に使われている反応剤はベンゾイルギ酸エチルとグアニジン化合物(BTMG、矢印の下の化合物)。ややこしいです。何がややこしいって、HMPTの3価のリン原子がどうなって5価になるのかです。Supporting Informationには、BTMGを反応させる前の段階ではN-スルホニルフェニルグリシン中間体ができているとあるんですよね、スルホニル。つまりこの段階では基質のSO2部分はまだ反応に関与していないわけです。フェニルグリシンというのは「ベンゾイルギ酸エチルの成れの果て」なのですが、酸素原子がまだ残っているかどうかもわからない。
ごちゃごちゃ書きながらあれこれ考へるよりも本文読んで確認した方が速そうなので、読みたい論文に追加です。
きょうのどうぶつ
ライトを見つめるシロクロ。
計算終わりました
Just finished the calculations: perfluorotributylamine (PFTBA) https://t.co/0goklBZfWN pic.twitter.com/suVfLYs1ZV
— nanoniele (@nanoniele) November 25, 2019
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