[読みたい論文] クロム触媒下で進む有機マグネシウムと酢酸ビニル等との交差カップリング

Viewed: 07:55:01 in December 7, 2019

Posted: November 20, 2019

Chromium(II)-Catalyzed Diastereoselective and Chemoselective Csp2−Csp3 Cross-Couplings Using Organomagnesium Reagents (Li, Jie; Ren, Qianyi; Cheng, Xinyi; Karaghiosoff, Konstantin; Knochel, Paul)
J. Am. Chem. Soc. 2019, 141 (45), 18127−18135.

Keywords: Cr; Nozaki−Himaya−Kishi reaction; 有機化学; ブログ


2価クロム触媒存在下での、有機マグネシウム化合物とヨウ化アルキル又は酢酸ビニル化合物の反応に関する論文のようです。用紙を読んだ時点では2つのストーリーを少々無理くりにまとめた感じはしますが、sp2炭素−sp3炭素結合形成反応であることが共通している模様。

2価クロムといえばNozaki−Himaya−Kishi反応を思い出しますがそれはさておき、他の遷移金属触媒下の炭素−炭素結合反応が多数報告されている中、この反応にどのようなメリットがあるのか(というか著者らがどう考えているのか)を知りたいので、読みたい論文に追加しました。選択性がどうとか配位子がどうとか以上ものがあるのか、ですね。

ところで酢酸ビニル化合物と反応させる場合なのですが、エステルですからカルボニル炭素と有機マグネシウムの教科書的な反応がどう抑えられているのかは、個人的には確認しておきたいところです。それと酢酸ビニル化合物は、確かケトンと無水酢酸から合成できるはずで、だったらケトンと有機マグネシウムを反応させてから脱水すればいいじゃんかと、これに対する答みたいものが論文に書かれているのか、ですね。

そもそもこれが何故J. Am. Chem. Soc.なのか、論文の内容に相応のインパクトがあるはずなので。立体選択性云々とかだけではなさそうな。合成例は多そうですね。

あと1価クロムとかどうやって確認するんだろう…。

この記事を書いた人
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

脚ピンチャシロさん。

 

計算終わりました

 

あわせてどうぞ

SOHOのすすめ記事一覧 2019年
お仕事関係の記事のリストです(2019年)。

読みたい論文シリーズ− 2019年4Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します(2019年10〜12月)。

 

[読みたい論文] 飛ぶも飛ばないも光次第のジアゾニウム塩と有機金化合物の反応
触媒反応の中間体から反応機構を考察。
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (47), 16988−16993.

[読みたい論文] 位置選択的・ジアステレオ選択的・エナンチオ選択的アルデヒドのアリル化
Buchwaldらが報告する銅触媒による反応です。
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (47), 17074−17080.

[読みたい論文] 有機酸化剤と水しか要らないベンジルC−H結合切断反応…違うんかい
酸化剤の合成法の方が気になります。
J. Am. Chem. Soc. 2019, 141 (45), 17983−17988.

[読みたい論文] プロトン酸でルイス酸をブーストします
この化合物の描き難さときたら
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (47), 16889−16893.

[読みたい論文] テトラインの一発4閉環反応
始まりはSuzuki−Miyauraカップリング。
Org. Lett. 2019, 21 (21), 8652−8656.

Buchwaldらのグループが報告するアリルアルコール類の不斉γ-アミノ化
キラル銅触媒を使います。
Org. Lett. 2019, 21 (21), 8736−8739.

フッ素化された安息香酸のベンジルエステルを使用するマロン酸エステルのベンジル化
ニッケル触媒。オムスギャップ。
Org. Lett. 2019, 21 (21), 8837−8841.

ホスフィン触媒で進行するシクロプロペノンの環拡大反応
プロパルギルアルコールから始まるシクロペンテノン化合物の合成。
Org. Lett. 2019, 21 (21), 8695−8699.

[読みたい論文] ベンジルマンガンとヨウ化アルケニルの交差カップリング
Knochel教授の継続的な研究。
Org. Lett. 2019, 21 (21), 8684−8688.

[読みたい論文] 求電子置換型の酸クロリドとアルケンの反応です
アルミニウム触媒と塩基の使い方が絶妙。
Org. Lett. 2019, 21 (21), 8509−8513.

 

注目のWebコンテンツ

ジカウイルスに
(村井君のブログ)
http://murai-kun.cocolog-nifty...

東芝 SCiB 30年に4000億円事業へ
(化学工業日報)
https://www.chemicaldaily.co.j...

マツダ、新型エンジン混流生産快調 部品点数増・高精度化に対応
(日刊工業新聞)
https://www.nikkan.co.jp/artic...

三菱ケミカル、低誘電エポキシ樹脂拡充 5Gなど高速通信狙う
(日刊工業新聞)
https://www.nikkan.co.jp/artic...

雄性生殖に必要な脂質環境をつくる仕組みを解明 -精子の正常発達に必要なDHA/DPA-
(理化学研究所)
https://www.riken.jp/press/201...
共同研究グループは、細胞内の脂肪酸をアシルCoA[4]に変換する「長鎖アシルCoA合成酵素6(Acsl6)[5]」の欠損マウスを作製し、その表現型解析を行いました…

新論文作成法?
(ある女性研究者の日記)
https://sunnily.exblog.jp/3091...

自閉スペクトラム症と嗅覚 ―嗅覚誘発脳波の評価によって嗅覚処理の後期に認められた脳活動の違い―
(東京大学)
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/to...
脳活動の時間変化を詳細に捉えられる脳波を用いてASD者と健常者の嗅覚誘発脳波を比較しました…

ハチに擬態した新種のガ「ナシコスカシバ」 〜きめ細かな調査で未知の害虫を発見、大学と試験場のタッグで速やかに生態解明〜
(鳥取大学)
https://www.tottori-u.ac.jp/it...
農学部の中秀司准教授らの研究グループが、京都府病害虫防除所、京都府農林水産技術センター丹後農業研究所との共同研究により、京都府京丹後市内でナシの樹皮下を加害する「謎の芋虫」の正体とその生態を解明しました…

中空ファイバー導波路内における超放射現象の挙動を解明 ―超小型・超放射レーザー実現の基盤技術を確立―
(東京大学)
https://www.t.u-tokyo.ac.jp/fo...
東京大学工学系研究科の岡場特任研究員、香取教授らからなる国際共同研究グループは、中空ファイバー導波路を用いて超放射の実験的、理論的な研究を行いました…

がん抑制遺伝子が不活性化される新たなメカニズムの発見― 成人T細胞白血病、悪性リンパ腫のエピゲノム異常の原因特定と新薬の開発にむけて ―
(東京大学)
http://www.k.u-tokyo.ac.jp/inf...
この研究成果を受け、その化合物については既にATLや他の悪性リンパ腫などに対する臨床試験が実施されており、中間報告で高い安全性と有効性が示唆されています…

5Gなどの新たな超高速・広帯域無線通信システムに対応可能な「時間・空間電波伝搬推定法」の国際標準化を達成
(東京工業大学)
https://www.titech.ac.jp/news/...
東京工業大学工学院 電気電子系の藤井輝也・表英毅研究室とソフトバンク株式会社(以下「ソフトバンク」)は、第5世代移動通信システム(5G)などの新世代対応の超高速・広帯域無線通信システムの設計や評価に不可欠な電波伝搬モデルを新たに開発しました…

中空ファイバー導波路内における超放射現象の挙動を解明 -超小型・超放射レーザー実現の基盤技術を確立-
(理化学研究所)
https://www.riken.jp/press/201...
東京大学工学系研究科の岡場特任研究員、香取教授らからなる国際共同研究グループは、中空ファイバー導波路を用いて超放射の実験的、理論的な研究を行いました…

カルシウム~Ca カルシウム摂取に最適なミルク
(高純度化学研究所)
https://www.kojundo.blog/nutri...

記憶の鍵となる受容体を働かせる仕組みを解明
(沖縄科学技術大学院大学)
https://www.oist.jp/ja/news-ce...
京都大学大学院医学研究科 岡昌吾 教授、森瀬譲二 同助教、岐阜大学研究推進・社会連携機構 生命の鎖統合研究センター(G-CHAIN) 鈴木健一 教授、沖縄科学技術大学院大学 楠見明弘 教授(後者2人は、京都大学物質・細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)客員教授兼任)らの研究グループは、脳の記憶と学習に重要な働きをするタンパク質分子であるAMPA型グルタミン酸受容体が働くときに、どのように分子が組み立てられて働くのかを解明しました…

 

注目の論文

ナノ結晶  
[RSC Adv. 2019, 9, 36717−36725]
Rapid synthesis of MgCo2O4 and Mg2/3Ni4/3O2 nanocrystals in supercritical fluid for Mg-ion batteries
(Truong, Quang Duc; Kobayashi, Hiroaki; Honma, Itaru)
Tag: RS, Mg, NC, HE, ED

[ACS Appl. Bio Mater. 2019, 2, 4941−4952]
Improvement of Production and Isolation of Human Neuraminidase-1 in Cellulo Crystals
(Koiwai, Kotaro; Tsukimoto, Jun; Higashi, Tetsuya; Mafuné, Fumitaka; Miyajima, Ken; Nakane, Takanori; Matsugaki, Naohiro; Kato, Ryuichi; Sirigu, Serena; Jakobi, Arjen; Wilmanns, Matthias; Sugahara, Michihiro; Tanaka, Tomoyuki; Tono, Kensuke; Joti, Yasumasa; Yabashi, Makina; Nureki, Osamu; Mizohata, Eiichi; Nakatsu, Toru; Nango, Eriko; Iwata, So; Senda, Toshiya; Itoh, Kohji; Yumoto, Fumiaki)
Tag: ER, Sn, NA, expt., SFX

[RSC Adv. 2019, 9, 36240−36247]
Spontaneous precipitation pattern formation by crystallites of Mn–Fe-based Prussian blue analogues in agarose gel
(Hayashi, Hisashi; Aoki, Saya; Suzuki, Tomoko)
Tag: pptn.

[RSC Adv. 2019, 9, 36416−36423]
Synthesis of self-assembled nucleobases and their anhydrous proton conductivity
(Yamada, Masanori; Tanoue, Kento)
Tag: THY, C12H25, A, Alk

[RSC Adv. 2019, 9, 36434−36439]
Rapid room-temperature synthesis of ultrasmall cubic Mg–Mn spinel cathode materials for rechargeable Mg-ion batteries
(Kobayashi, Hiroaki; Yamaguchi, Kazuya; Honma, Itaru)