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[読みたい論文] テトラインの一発4閉環反応

Viewed: 16:44:41 in July 12, 2025

Posted: November 13, 2019

Four-Fold Alkyne Benzannulation: Synthesis, Properties, and Structure of Pyreno[a]pyrene-Based Helicene Hybrids (Bam, Radha; Yang, Wenlong; Longhi, Giovanna; Abbate, Sergio; Lucotti, Andrea; Tommasini, Matteo; Franzini, Roberta; Villani, Claudio; Catalano, Vincent J.; Olmstead, Marilyn M.; Chalifoux, Wesley A.)
Org. Lett. 2019, 21 (21), 8652−8656.

Keywords: Suzuki−Miyaura coupling; OTf; BPin; TFA; TfOH; HPLC; CD; Chalifoux, Wesley A.; 有機化学; ブログ


上のスキームの中央、ナフタレン骨格が中心にあり炭素−炭素三重結合を4つ持つ化合物の閉環反応と生成物の物性に関する論文のようです。

閉環反応、具体的にはアルキンの分子内ヒドロアリール化で、触媒としてプロトン酸を使用しています。トリフルオロメタンスルホン酸を使用すれば4箇所全て閉環、トリフルオロ酢酸を使えば部分的に閉環させることもできます。Supporting Informationにありますが、部分的に閉環させた場合の、想定される生成物の一部がnot isolatedとあるのが気になります。これ、生成しなかったのか、それぞれの生成物を分離できなかったのか、どっちなんでしょうね。

その生成物ですが、構造上π共役系がねじれないわけにはいかず、結果としてキラリティがあります。反応により生じるのは両エナンチオマーですが、HPLCとキラルカラムでそれぞれのエナンチオマーに分離し、CDスペクトルなどを測定しているようですね。使用しているキラルカラムは…と、これ、もしかして分取用じゃなくて分析用だったりしますか?

合成例は少なめですが、物性評価の関する実験が多くありそうで、本文のコンテンツが盛りだくさんのような気がしますので、読みたい論文に追加です。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

アゴ乗せミケ。

 

計算終わりました

 

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Buchwaldらのグループが報告するアリルアルコール類の不斉γ-アミノ化
キラル銅触媒を使います。
Org. Lett. 2019, 21 (21), 8736−8739.

フッ素化された安息香酸のベンジルエステルを使用するマロン酸エステルのベンジル化
ニッケル触媒。オムスギャップ。
Org. Lett. 2019, 21 (21), 8837−8841.

ホスフィン触媒で進行するシクロプロペノンの環拡大反応
プロパルギルアルコールから始まるシクロペンテノン化合物の合成。
Org. Lett. 2019, 21 (21), 8695−8699.

[読みたい論文] ベンジルマンガンとヨウ化アルケニルの交差カップリング
Knochel教授の継続的な研究。
Org. Lett. 2019, 21 (21), 8684−8688.

[読みたい論文] 求電子置換型の酸クロリドとアルケンの反応です
アルミニウム触媒と塩基の使い方が絶妙。
Org. Lett. 2019, 21 (21), 8509−8513.

[読みたい論文] カルベンがアレーンの芳香族性を破壊してシクロプロパン骨格になります
金属触媒なし、可視光下で進みます。
Org. Lett. 2019, 21 (21), 8814−8818.

[読みたい論文] クロロシランも金属触媒も使わずにベンゼン環炭素−ケイ素結合を形成します。
ビフェニル化合物とヒドロシランからのシラフルオレン合成。
Chem. Commun. 2019, 55 (88), 13303−13306.

[読みたい論文] イミダゾリウム塩から超リッチな化合物を合成します。
電子供与力のとても高い含窒素π共役系。
J. Am. Chem. Soc. 2019, 141 (43), 17112−17116.

[読みたい論文] 強塩基を使わない末端アルキンと有機ハライドのクロスカップリング
ホウ素は使われていません。
Chem. Commun. 2019, 55 (87), 13070−13073.

[読みたい論文] アレーンの特定の位置の炭素−水素結合を炭素−酸素結合に変換します。
でっかいスルホニウム塩経由です。
Angew Chem. Int. Ed. 2019, 58 (45), 16161−16166.

 

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