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[読みたい論文] クロロシランも金属触媒も使わずにベンゼン環炭素−ケイ素結合を形成します。

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Posted: November 1, 2019
[有機化学] [ブログ]

Lewis acid-catalyzed synthesis of silafluorene derivatives from biphenyls and dihydrosilanes via a double sila-Friedel−Crafts reaction (Dong, Yafang; Takata, Yuta; Yoshigoe, Yusuke; Sekine, Kohei; Kuninobu, Yoichiro)
Chem. Commun. 2019, 55 (88), 13303−13306.

Keywords: silafluorene; Friedel−Crafts reaction; tris(pentafluorophenyl)borane; 2,6-lutidine; Kuninobu, Yoichiro


アミノ基が結合したビフェニル化合物とヒドロシランの反応によるシラフルオレン合成に関する論文のようです。B(C6F5)3触媒を使用します。

Supporting informationに書かれている実験操作の中で気になったのが、2,6-ルチジンの添加。この反応、形式的には水素分子が発生するもののはずなのに、まるで酸をトラップするかのようなこの添加物ですが、どのような効果を狙って使われているのかが気になります。他の添加剤を検討した形跡が見当たりませんが、本文中では文献の引用などがなされているのかもしれませんので、この辺りのことを知りたく、読みたい論文に追加しました。

この反応、ビフェニル化合物については置換基そのものがヒドロシランと反応しない限り特に制限はなさそうに見えますが、「アミノ基」は必須なのかなという気がします。アミノ基を「脱離基」にするというのは可能なようで、実際にそのデモンストレーションも論文中にあります。ヒドロシランについては単純なジヒドロシランであれば反応上問題はなさそう。アルコキシシランだとどうなるか、ですね。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

きょうのどうぶつ

ここの画像を使用しています。

修羅場をかいくぐって生き延びたように見えるトノサマバッタ。

 

計算終わりました

 

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[読みたい論文] イミダゾリウム塩から超リッチな化合物を合成します。
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J. Am. Chem. Soc. 2019, 141 (43), 17112−17116.

[読みたい論文] 強塩基を使わない末端アルキンと有機ハライドのクロスカップリング
ホウ素は使われていません。
Chem. Commun. 2019, 55 (87), 13070−13073.

[読みたい論文] アレーンの特定の位置の炭素−水素結合を炭素−酸素結合に変換します。
でっかいスルホニウム塩経由です。
Angew Chem. Int. Ed. 2019, 58 (45), 16161−16166.

[読みたい論文] 芳香環の芳香族性をぶっ壊してエーテル結合とアミン結合を作ります。
可視光照射下での[4+2]環化付加。
Angew Chem. Int. Ed. 2019, 58 (44), 15762−15766.

[読みたい論文] Pummerer反応を介してベンゾチオフェン骨格を形成します
メチル基はどこへ?
Angew Chem. Int. Ed. 2019, 58 (44), 15675−15679.

[読みたい論文] ランタン反応剤とハロゲン化ビフェニルでランタン−炭素結合を2つ作ります
クラシックなランタンの化学を新しい反応剤で。
Angew Chem. Int. Ed. 2019, 58 (44), 15631−15635.

[読みたい論文] アシルシランとピナコールボランの反応をカルベン経由で
「カルベン」をどうやって確認したんだろう。
J. Am. Chem. Soc. 2019, 141 (41), 16227−16231.

[読みたい論文] ケトンのα−炭素と芳香環とかをアルケンの両方の炭素にくっつけます。
ニッケルを使用していますが真の触媒が気になります。
J. Am. Chem. Soc. 2019, 141 (41), 16249−16254.

[読みたい論文] カルシウム触媒がベンゼン環のC−H結合を活性化します。
アルミニウム(I)とアレーンからの酸化的付加反応。
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (43), 15496−15503.

[読みたい論文] Diels−Alderで芳香環の結合をぶった切ります
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