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[読みたい論文] ケトンのα−炭素と芳香環とかをアルケンの両方の炭素にくっつけます。

Viewed: 07:20:14 in July 11, 2025

Posted: October 21, 2019
[有機化学] [ブログ]

Nickel-Catalyzed Difunctionalization of Unactivated Alkenes Initiated by Unstabilized Enolates (Huang, David; Olivieri, Diego; Sun, Yang; Zhang, Pengpeng; Newhouse, Timothy R.)
J. Am. Chem. Soc. 2019, 141 (41), 16249−16254.

Keywords: Ni; TMP; dme; TBAOTf; TEMPO; Newhouse, Timothy R.


ケトンのα-炭素が関わる分子内環化反応に関する論文のようです。

確か今年似たような反応が報告されていたよなと、過去の記事を探したら、ありました。

[読みたい論文] 脱水素を経るカルボニルα炭素−アルケニル炭素結合形成反応

どうやら記事で紹介した論文の続報のようで、その論文との違いは、ハロゲン化アリールなどのほかの分子とのカップリングである模様。Zn(TMP)2など、使用している試薬にも共通するものがあります。5員環と6員環の形成がほとんど。ケトンは環状である必要はないですが、収率は高くなさそう。

この反応、本文を読まないと詳細な機構はわかりませんが、Supporting Informationを見て行くと、TEMPOを使った反応例があり、Ni触媒がなくても類似の反応が進んでいるようです。ラジカル的な機構ということになるのでしょうが、だとするとNi金属の役割は?ということになります。確かにNi触媒下での反応にはラジカル的な機構で進むものはありますが、エノラート型のケトンにラジカルが簡単に付加するものかなと(お前が言うかと突っ込みが入りそうですが)。

そんなわけで反応機構を知りたく、読みたい論文に追加です。ホスフィンとハロゲン化アリールが反応してホスホニウム塩になってこいつがラジカル発生源になってるとか、ないですよね。実験量は膨大というほどではないですが、前報と同様、基質の複雑さが印象的でした。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

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スズメがやってくる季節になりました。

 

計算終わりました

 

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[読みたい論文] カルシウム触媒がベンゼン環のC−H結合を活性化します。
アルミニウム(I)とアレーンからの酸化的付加反応。
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (43), 15496−15503.

[読みたい論文] Diels−Alderで芳香環の結合をぶった切ります
レトロもあるよ。
J. Am. Chem. Soc. 2019, 141 (40), 15901−15909.

[読みたい論文] はじめてのネプツニウム錯体
配位子ブーン⊂二二二( ^ω^)二⊃
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (42), 14891−14895.

[読みたい論文] 位置も幾何異性も制御できるシリルエノールエーテル合成
頑張れば触媒的合成にできるか。
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (42), 14995−14999.

[読みたい論文] アリールトリフルオロメチルスルホンでSuzuki−Miyauraカップリング
トリフルオロメチルスルホニル基の脱離能はどの程度か。
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (42), 14959−14963.

[読みたい論文] ニッケル触媒下でアルケニルトリフラートからアルケニルハライドを合成します。
エノールトリフラートという呼び方は初耳かも。
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (42), 14901−14905.

[読みたい論文] 金触媒下でのヨウ化アリールのアミノ化
Buchwald−Hartwigアミノ化より有利な点とは。
Org. Lett. 2019, 21 (19), 8101−8105.

[読みたい論文] ねじれたでかいアミドの炭素−窒素結合切断を経るSuzuki−Miyauraカップリング
ねじれればねじれるほどに速くなる。
Org. Lett. 2019, 21 (19), 7976−7981.

[読みたい論文] なぜかラジカル反応で進行するアミド交換反応
KOtBuが絡むと色々ややこしい。
Org. Lett. 2019, 21 (17), 6690−6694.

[読みたい論文] 温和な条件下で進むケトンのα-アリール化
Pd触媒とホスフィンイリド配位子を使います。
Org. Lett. 2019, 21 (18), 7558−7562.

 

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(九州大学)
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奈良先端科学技術大学院大学(学長:横矢直和)先端科学技術研究科バイオサイエンス領域の末次…

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(京都大学)
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椛島健治医学研究科教授、江川形平同助教、小野さち子医学研究科・日本学術振興会特別研究員らの研究グループは、炎症のない状態の血管から皮膚への抗体移行のメカニズムはカベオラによる小胞輸送を利用し、チロシンキナーゼのひとつであるAblファミリーチロシンキナーゼにより制御されること、Ablファミリーチロシンキナーゼ阻害薬は皮膚への抗体移行を阻害し疾患モデルマウスの症状を抑制しうることを見出しました…

2種類のゼオライトナノ粒子の製造技術を確立 〜透明吸湿性包材の実現や温感化粧品などへの応用が可能に〜 : 化学システム工学専攻
(東京大学)
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/soe...
ST(理事長?M口道成)は、研究成果最適展開支援プログラム(A−STEP)企業主導フェーズNexTEP−Aタイプの開発課題「ゼオライトナノ粒子の製造方法と粒径制御技術」の開発結果を成功と認定しました…

心臓内での軟骨形成をおさえる仕組みを解明 −プロテアーゼが細胞の軟骨分化を防ぐ−
(京都大学)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/re...
荒井宏行ウイルス・再生医科学研究所研究員、瀬原淳子名誉教授(ウイルス・再生医科学研究所連携教授)は、iPS細胞研究所、理化学研究所、広島大学、岐阜大学、英国・Newcastle大学と共同で、心臓の中に軟骨ができないようにする仕組みが備わっていることを発見しました…

大規模・汎用量子計算を実行できる量子もつれの生成に成功 ―新しいアプローチで量子コンピューター実現に突破口― :物理工学専攻
(東京大学)
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/soe...
量子コンピューターは幅広い分野での応用が期待され、実現に向けて世界各国で開発が進められています…

異常ホール効果による磁化スイッチングに成功 スピントロニクス素子の従来技術とは一線を画す情報書込方法に道すじ
(東北大学)
https://www.tohoku.ac.jp/japan...
スピンの流れ(スピン流)を積極的に利用し、磁石の方向で情報を記憶するスピントロニクス素子は、半導体エレクトロニクスだけでは難しい機能性(例えば低消費電力化など)を実現できる次世代デバイスとして期待を集めています…

重希土類フリーの高耐熱希土類磁石粉末の合成法を開発 −自動車駆動用モーター向け磁石の開発を推進−
(産業技術総合研究所)
https://www.aist.go.jp/aist_j/...
国立研究開発法人産業技術総合研究所【理事長中鉢良治】(以下「産総研」という)磁性粉末冶金研究センター【研究センター長尾崎公洋】岡田周祐主任研究員、高木健太研究チーム長らはTDK株式会社【代表取締役社長石黒成直】と共同で、重希土類元素を使わないで、室温での保磁力が30kOeを超えるサマリウム-鉄-窒素(Sm2Fe17N3)系磁石粉末を作製できる技術を開発した…

手の運動機能を持たない脳領域に人工神経接続システムを使って新たに運動機能を付与することに成功
(京都大学)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/re...
西村幸男医学研究科准教授(現・東京都医学総合研究所プロジェクトリーダー)、加藤健治国立長寿医療研究センター室長らの研究グループは、手の運動機能を持たない脳領域に「人工神経接続システム」を使って、新たに運動機能を付与することに成功しました…


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