Archive|Nanoniele|MakiokaFufudo

 

[読みたい論文] ニッケル触媒下でアルケニルトリフラートからアルケニルハライドを合成します。

Viewed: 13:38:58 in July 3, 2025

Posted: October 10, 2019
[有機化学] [ブログ]

Nickel−Catalyzed Conversion of Enol Triflates into Alkenyl Halides (Hofstra, Julie L.; Poremba, Kelsey E.; Shimozono, Alex M.; Reisman, Sarah E.)
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (42), 14901−14905.

Keywords: Ni; OAc; OTf; Zn; cod; DMAP; DMA; THF; cat.; Reisman, Sarah E.


Graphical Abstractには略号がたくさんあるので、キーワードとして並べておきました。

ニッケル触媒下でのアルケニルトリフラートからのアルケニルハライド合成について報告している論文のようです。アルケニルトリフラートの合成法を顧慮すると、ケトンからのアルケニルハライド合成。室温(23℃)で反応が進むのがセールスポイントのひとつの模様。

Ni(OAc)2が触媒(の前駆体)、亜鉛はNi(II)をNi(0)にして触媒サイクルへ投入するための還元剤、codやDMAPは触媒の配位子、DMAやTHFは溶媒、と行ったところでしょうか。亜鉛は基質に対して等モル必要なわけではないです。

基質の適用範囲を知りたいので、読みたい論文に追加です。ハロゲンの種類と収率の関係を特に知りたいですね。反応機構は、Ni(0)とNi(II)の往復、つまり酸化的付加とアニオン交換と還元的脱離、か。

ところでこの基質、私はアルケニルトリフラートと呼んでいるのですが、この論文ではエノールトリフラートなのですよね。確かにエノール型のケトンのトリフルオロメタンスルホン酸エステルであり、ケトン由来のものであることを強調するのには都合のいい呼び方ではあります。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

きょうのどうぶつ

ここの画像を使用しています。

朝青龍のカッコいい顔。

 

計算終わりました

 

あわせてどうぞ

2019年の記事一覧
お仕事関係の記事のリストです(2019年)。

読みたい論文シリーズ− 2019年4Q
読みたいけと読んでいない論文を、構造式を描きながら紹介します(2019年10〜12月)。

 

[読みたい論文] 金触媒下でのヨウ化アリールのアミノ化
Buchwald−Hartwigアミノ化より有利な点とは。
Org. Lett. 2019, 21 (19), 8101−8105.

[読みたい論文] ねじれたでかいアミドの炭素−窒素結合切断を経るSuzuki−Miyauraカップリング
ねじれればねじれるほどに速くなる。
Org. Lett. 2019, 21 (19), 7976−7981.

[読みたい論文] なぜかラジカル反応で進行するアミド交換反応
KOtBuが絡むと色々ややこしい。
Org. Lett. 2019, 21 (17), 6690−6694.

[読みたい論文] 温和な条件下で進むケトンのα-アリール化
Pd触媒とホスフィンイリド配位子を使います。
Org. Lett. 2019, 21 (18), 7558−7562.

[読みたい論文] テトラビニルアレン
いびき防止テープ。
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (40), 14573−14577.

[読みたい論文] シレン(Si=C)のZ/E異性化の途中でシリレンになっていた
Beckmann転位と似ているような似ていないような。
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (40), 14524−14528.

[読みたい論文] 含窒素アレーンの2-アリル化、しかも不斉反応
どこのステップでキラル炭素ができるんだろ。
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (40), 14104−14109.

[読みたい論文] 脱離基を工夫してイノラートを簡便に作れるようにします
これLDAでもいけるんじゃ?。
Org. Lett. 2019, 21 (17), 6585−6588.

[読みたい論文] さっくり合成できるテトラシラシクロブタンジカチオン
綺麗な結晶の画像付き。
J. Am. Chem. Soc. 2019, 141 (38), 14987−14990.

[読みたい論文] 塊魂的なアルキルピリジンの不斉アルキル化反応
有機リチウムの会合が反応の鍵。
J. Am. Chem. Soc. 2019, 141 (38), 15024−15028.

 

注目のWebコンテンツ

マイクロ流体デバイスで生物組織を簡単に長期培養 −概日時計を25日間にわたって培養し観察−
(理化学研究所)
https://www.riken.jp/press/201...
理化学研究所(理研)生命機能研究センター集積バイオデバイス研究チームの田中陽チームリーダー、太田亘俊研究員、合成生物学研究チームの上田泰己チームリーダー、神田元紀研究員(研究当時)らの研究チームは、マイクロ流体デバイスを培養液透過膜と組み合わせることで、少量の培養液を自動的に灌流させ、生物組織切片を長期間培養することに成功しました…

ノーベル化学賞に吉野氏 リチウムイオン電池開発
(日刊工業新聞)
https://www.nikkan.co.jp/artic...

三菱電、屋内用LED表示装置を高精細化 来年度投入
(日刊工業新聞)
https://www.nikkan.co.jp/artic...

2019年ノーベル化学賞は
(村井君のブログ)
http://murai-kun.cocolog-nifty...

2019年ノーベル化学賞
(化学業界の話題)
http://blog.knak.jp/2019/10/20...

科学の甲子園全国大会(令和2〜4年度)の茨城県開催決定について
(JST)
https://www.jst.go.jp/pr/annou...
全国の高校生等が都道府県を代表して科学の思考力・技能をチームで競う「科学の甲子園全国大会」(主催:科学技術振興機構)について、令和2年度(第10回)から令和4年度(第12回)までの3年間の開催地が、茨城県に決定しました…

科学の甲子園ジュニア全国大会(令和2〜4年度)の兵庫県開催決定について
(JST)
https://www.jst.go.jp/pr/annou...
全国の中学生が都道府県を代表して科学の思考力・技能をチームで競う「科学の甲子園ジュニア全国大会」(主催:科学技術振興機構)について、令和2年度(第8回)から令和4年度(第10回)までの3年間の開催地が、兵庫県に決定しました…

温故知新:古い薬に全く新しい肺動脈性肺高血圧症の治療効果を発見 - アカデミア創薬スクリーニングの成果 -
(東北大学)
https://www.tohoku.ac.jp/japan...
東北大学大学院医学系研究科循環器内科学分野の下川宏明(しもかわひろあき)教授、佐藤公雄(さとうきみお)准教授、MohammadAbdulHaiSiddique研究員の研究グループは、国の指定難病である肺動脈性肺高血圧症の新規治療薬を探索するため東北大学化合物ライブラリー5,562種類の網羅的探索を行い、催吐剤の主成分であるエメチンが肺動脈性肺高血圧症に対して治療効果を示すことを世界に先駆けて発見しました…

油圧駆動の建設重機で力触覚技術を利用するシステムを実証−2種類の操作装置を開発し、実機での性能や作業性を確認−
(慶應義塾大学)
https://www.keio.ac.jp/ja/pres...
株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、建設重機のオペレーターが重機の先端部が触れた物体の力や動き、触覚を得ながら作業できるよう、慶應義塾大学(理工学部システムデザイン工学科専任講師野崎貴裕、グローバルリサーチインスティテュートハプティクス研究センター(センター長:村上俊之(理工学部教授)))と共同して開発した、力触覚を再現する技術「リアルハプティクス」を油圧駆動の建設重機に適用し性能・作業性を実証しました…

人の皮膚感覚と同等の性能を有するロボット皮膚センサーを開発 ―表面圧分布や振動の測定、超音波非破壊検査への応用が可能に―
(熊本大学)
https://www.kumamoto-u.ac.jp/d...
NEDOは、「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」に取り組んでおり、今般、NEDOと熊本大学は、人との物理的な接触を伴う作業を行うロボットの安全で快適な動作に必要な、人の皮膚感覚と同等の性能を有するロボット皮膚センサーを開発しました…

赤ちゃんも上に立っている者が優位と判断することを解明 ―前言語期の乳児が空間的上下と社会的上下を結びつける―
(九州大学)
http://www.kyushu-u.ac.jp/f/37...
「目上の人・目下の人」(英語では例えばhigh-statusperson,low-statusperson)という表現やオリンピック・パラリンピック競技大会などで表彰台の高いところには勝者が立つなどというように、私たちはしばしば社会的な優位性や地位(上下関係)を空間位置で表現します…

光を用いた概日リズムの精密な調節 〜 概日時計の仕組み解明に新手法 〜
(名古屋大学)
http://www.nagoya-u.ac.jp/abou...
名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI-ITbM)の廣田毅特任准教授らの研究チームは、オランダ・グローニンゲン大学のBenFeringa教授、ITbMの伊丹健一郎教授、FlorenceTama教授、本学環境医学研究所の小野大輔助教らと共同で、光に応答して活性化する化合物を開発し、哺乳類の培養細胞やゼブラフィッシュにおいて、概日リズムのスピードを精密に調節することに成功しました…

特許庁委託事業 「令和元年度 知財戦略デザイナー派遣事業」の派遣先に決定
(筑波大学)
http://www.tsukuba.ac.jp/news/...
本学の提案が特許庁委託事業「令和元年度知財戦略デザイナー派遣事業」における派遣先として採択されました…

蛍光体粒子分散セラミックスを常温で高密度化
(横浜国立大学)
https://www.ynu.ac.jp/hus/koho...
横浜国立大学大学院環境情報研究院の多々見純一教授および神奈川県立産業技術総合研究所「革新的高信頼性セラミックス創製」プロジェクトの高橋絵美準研究員は、常温での緻密化プロセスにより8W/m・Kという従来の樹脂を用いたものと比較して40倍以上も高い熱伝導率を有する蛍光体粒子分散酸化マグネシウムセラミックスの開発に成功しました…

人の皮膚感覚と同等の性能を有するロボット皮膚センサーを開発 ―表面圧分布や振動の測定、超音波非破壊検査への応用が可能に―
(NEDO)
https://www.nedo.go.jp/news/pr...
人の生活・作業環境に入り込み、人との物理的な接触を伴う作業を行うロボットが、人に対して安全で快適な動作を実現するためには、人と同じように全身を覆う皮膚センサーが必要です…

赤ちゃんも上に立っている者が優位と判断することを解明 −前言語期の乳児が空間的上下と社会的上下を結びつける−
(京都大学)
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/re...
孟憲巍教育学研究科・日本学術振興会外国人特別研究員(現・同志社大学特任助教)、森口佑介教育学研究科准教授、橋彌和秀九州大学准教授らの研究グループは、まだ言葉の話せない1歳の赤ちゃんが、高い場所に立つ者が低い場所に立つ者に負ける場面を見ると驚くような行動を示す実験結果から、乳児が空間的に上にいる者が社会的に優位であることを期待することを明らかにしました…


学問・科学ランキング 科学ランキング 自然科学ランキング 化学ランキング