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[読みたい論文] 塊魂的なアルキルピリジンの不斉アルキル化反応

Viewed: 07:49:56 in July 7, 2025

Posted: September 26, 2019
[有機化学] [ブログ]

Enantioselective Alkylation of 2-Alkylpyridines Controlled by Organolithium Aggregation (Gladfelder, J. Joshua; Ghosh, Santanu; Podunavac, Maša; Cook, Andrew W.; Ma, Yun; Woltornist, Ryan A.; Keresztes, Ivan; Hayton, Trevor W.; Collum, David B.; Zakarian, Armen)
J. Am. Chem. Soc. 2019, 141 (38), 15024−15028.

Keywords: Li; asymmetric synthesis; HMPA; BnBr; nBuLi; ee; Zakarian, Armen


塊魂、やったことはないけど面白そうなゲームだと思いました。

2-アルキルピリジンのアルキル水素を有機リチウムでリチオ化し、ハロゲン化アルキルでアルキル化するというのは既知の反応であるわけですが、この反応をエナンチオ選択的に行う手法を見つけたというのが、この論文の趣旨のような気がします。そして反応中間体から反応のメカニズムを考えた、と。

反応には基質やアルキルリチウム、不斉補助剤のジアミン(またはトリアミン)他、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPA)が使われています。基質とアルキルリチウムが反応してできた有機リチウム、ジアミンとアルキルリチウムが反応したリチウムアミド、HMPA3つがくっついた時にアルキルリチウムのリチウム−炭素周りが不斉誘起される、ということでしょうか。つまり、これらからなる「塊」ができる時に不斉が決まる、と。速度論的か熱力学的か、後者なのかな。

そんなことを考えながらSupporting Informationに書かれた実験操作を見ると、0℃で混ぜて−78℃に冷やすとあるんですよね。冷やして塊を作ってるてことでしょうか。合理的ではありますよね。

Supporting Informationに記載の実験の量から、本文の内容がかなり濃いのではと思うので、読みたい論文に追加です。

X線結晶解析のデータが2つあるんだが、違いがわからん。1r-Liのじゃないような気もする。アルキル化はリチウムの結合した炭素の背面側から起きるのか、それとも前面側からか、これも本文中で確認したいところ。


この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

1992年はこんな年

人名反応など
Corey−Link反応 [Doi 1]
Grubbs触媒 [Doi 1]
Ichikawa転位 [Doi 1]
Kauffmannオレフィン化 [Doi 1]
Shibasaki不斉ニトロアルドール反応 [Doi 1]
ノーベル化学賞
溶液中の電子移動反応理論への貢献
(Rudolph Arthur Marcus)
できごと
国際宇宙基地協力協定が発効
改正大規模小売店舗法が施行
経済企画庁が日本経済が昨年1-3月期をピークにリセッション入りしたと発表
東海道新幹線で「のぞみ」が運転開始
ハウステンボス開業
「美少女戦士セーラームーン」放映開始(テレビ朝日)
「報道2001」放送開始(フジテレビ)
「クッキングパパ」放送開始(朝日放送)
「クレヨンしんちゃん」放送開始(テレビ朝日)
国家公務員の週休2日制スタート
日本で最初のビルの爆破解体
森高千里「私がオバさんになっても」
北海道大学で液体窒素に絡む事故
「紅の豚」公開
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山手線の全駅で禁煙実施
松井秀喜5打席連続敬遠
「日清ラ王」発売(日清食品)
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「インプレッサ」発売(富士重工業)
風船おじさんがアメリカ大陸を目指して旅立つも、消息不明に
気圧の単位がミリバール(mb)からヘクトパスカル(hpa)に変更される
日鉱共石発足
稲垣潤一「クリスマスキャロルの頃には」
中山美穂&WANDS「世界中の誰よりきっと」
平松愛理「部屋とYシャツと私」

 

きょうのどうぶつ

ここの画像を使用しています。

シロクロも庭の外の様子を気にしている。

 

計算終わりました

 

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