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[読みたい論文] N-ヘテロ環カルベン銅触媒下、Markovnikov付加で進行する不飽和炭化水素のヒドロホウ素化

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Posted: September 19, 2019
[有機化学] [ブログ]

Markovnikov-Selective Hydroboration of Olefins Catalyzed by a Copper N-Heterocyclic Carbene Complex (DiBenedetto, Tarah; A.; Parsons, Astrid M.; Jones, William D.)
Organometallics 2019, 38 (17), 3322−3326.

Keywords: Cu; BPin; IPr; N-heterocyclic carbene; Jones, William D.


N-ヘテロ環カルベン銅触媒下でのアルケンまたはアルキンのヒドロホウ素化について報告している論文のようです。有機化学の教科書ではanti-Markovnikov付加の例として記述されているヒドロホウ素化ですが、この論文の反応ではMarkovnikov付加が選択的に進行するようです。

ほうほうそれはすごいねと、いやちょっと待てよどんな基質での反応難解なとSupporting Informationを見てみました。おいこら、スチレン類とかアクリル酸エステルとか、Markovnikov付加しやすそうなものばかりじゃねえか、1-オクテン(R=nC6H13)じゃうまくいかんとか、うまくいかんならどううまくいかんのかちゃんと書いとかんかい(本文中にはあるのかもしれんけど)とか。それとNMRチャートないんかいフルペーパーなのにええんか、と。触媒はどうやって作って構造決めたんかい。

とまあ色々言いたくもなるのではあるのですが、本文中にはきっちり書いてあるかもしれないので、読みたい論文に追加です。読みたいというか、読まないと気がおさまらないというか。

無溶媒であることの議論はさておき、反応のシンプルさは素直に評価したいと思います。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

1988年はこんな年

人名反応など
Hiyamaカップリング [Doi 1]
Sharpless不斉ジヒドロキシル化 [Doi 1]
Stryker試薬 [Doi 1]
ノーベル化学賞
光合成反応中心の三次元構造の決定
(Johann Deisenhofer, Robert Huber, Hartmut Michel)
できごと
ラニーニャ現象が発生
朝シャン
ワンレン・ボディコン流行始まる
ペレストロイカ開始(ソビエト連邦)
ボーイング社747-400が本格生産開始
営団地下鉄(東京メトロ)の全駅が終日禁煙
六本木のディスコ「トゥーリア」店内で重量2トンの照明が落下
ソニーがVHS方式のビデオテープレコーダに参入
「ファイブミニ」発売(大塚製薬)
東京都世田谷区鎌田の世田谷区立砧南中学校で机「9」文字事件
南野陽子「吐息でネット」
ラ・ムー「愛は心の仕事です」
青函トンネルが開業
東京ドーム開場
山陽新幹線の新尾道駅・東広島駅開業
東海道新幹線の新富士駅・掛川駅・三河安城駅開業
「探偵!ナイトスクープ」放送開始(朝日放送)
「キテレツ大百科」放映開始(フジテレビ)
東京情報大学・大阪国際大学・八千代国際大学(秀明大学)が開学
日本光学工業がニコンへ社名変更
瀬戸大橋開通
田原俊彦「抱きしめてTONIGHT」
浅香唯「C-Girl」
Wink「愛が止まらない 〜Turn It Into Love〜」
「AERA」創刊
「リゲイン」発売(三共=第一三共)
「Hanako」創刊(マガジンハウス)
リクルート事件発覚
ネパール地震(M6.8)
B'zがデビュー
「セフィーロ」発売(日産自動車): 「くう・ねる・あそぶ」
津村順天堂がツムラに社名変更
エフエムジャパン(J-WAVE)開局
「それいけ!アンパンマン」放送開始(日本テレビ)
民放全局共同でのゆく年くる年放送が終了

 

きょうのどうぶつ

ここの画像を使用しています。

ネコミミ朝青龍。

 

計算終わりました

 

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ぐりんぐりんやります。
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おなじみProf. Knochelのお仕事です。
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Prof. S. E. Denmark二連チャン。
Angew. Chem. Int. Ed. 2019, 58 (36), 12486−12490.

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室温で磁場により電気が100倍流れ易くなる物質を発見 〜『Physical Review Letters』に掲載〜
(横浜市立大学)
https://www.yokohama-cu.ac.jp/...
横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科物質システム科学専攻の山田重樹准教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科物質系専攻の有馬孝尚教授、阿部伸行助教、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の佐賀山基准教授らの研究グループは、室温でかつ比較的弱い磁場で巨大磁気抵抗が発現する物質を発見しました…

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JST(理事長?M口道成)は、戦略的創造研究推進事業(「CREST」、「さきがけ」および「ACT−X」)の2019年度研究提案募集における新規採択研究代表者・研究者および研究課題を決定しました…

生きたヒト細胞のDNAの流動的な動きを捉えた
(JST)
https://www.jst.go.jp/pr/annou...
名古屋大学大学院工学研究科のS.S.Ashwin特任助教、笹井理生教授のグループは、国立遺伝学研究所の野崎慎日本学術振興会特別研究員、前島一博教授のグループとの共同研究により、ヒト細胞核の中でゲノムDNAが多様で流動的な動きを示すことを明らかにしました…

キラルな層状ペロブスカイト型半導体で光起電力を発現 電位差界面を使わない光起電力材料開発に指針
(東北大学)
https://www.tohoku.ac.jp/japan...
国立大学法人東北大学金属材料研究所の谷口耕治准教授、宮坂等教授らは、有機・無機ハイブリッド層状ペロブスカイト型半導体にキラル分子を組み込むことで、光起電力の起源となる電位差界面(p-n接合*3のような異なる物質同士が接する界面)を必要としない光起電力効果*4(バルク光起電力効果*5を発生させることに成功しました…

【報道発表】南海トラフ大地震などに備えAI・画像解析で 歯科所見から身元確認を迅速化
(徳島大学)
https://www.tokushima-u.ac.jp/...
徳島大学病院口腔管理センターの高野栄之副センター長と徳島大学大学院産業理工学研究部・知能工学分野の寺田賢治教授、徳島大学大学院医歯薬学研究部・口腔内科学分野(教授:東雅之)の桃田幸弘講師らの研究グループは、メディホーム株式会社(代表取締役:菅藤達也)と共同で2019年9月1日より、南海トラフ大地震などの大規模災害に備え、口腔内画像解析とエックス線診断AIを用いた身元確認の迅速化に関する研究を行うこととなりました…

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http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/re...
伊佐正医学研究科教授(高等研究院ヒト生物学高等研究拠点(ASHBi)副拠点長・主任研究者)、飛田秀樹名古屋市立大学教授、石田章真同講師、小林憲太自然科学研究機構生理学研究所准教授らの研究グループは、リハビリテーションによる運動機能に直結する神経回路の再編成は、速やかに他の神経回路の活用によってカバーされうることを実証しました…


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