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[読みたい論文] 安息香酸を使ってクマリン骨格を「もう一つ」作ります。

Viewed: 07:32:37 in July 11, 2025

Posted: January 14, 2020

Pd(II)-Catalyzed Oxidative Annulation via Double C–H Activations: Synthesis and Photophysical Properties of Bis-Coumarins (Sharma, Kumud; Neog, Kashmiri; Gogoi, Pranjal)
Org. Lett. 2020, 22 (1), 73−77.

Keywords: Pd; Cu; OAc; C–H bond activation; 4-hydroxycoumarin; PL; 読みたい論文シリーズ; Gogoi, Pranjal; 有機化学; ブログ


Pd触媒下での4-ヒドロキシクマリンと安息香酸化合物の反応に関する論文のようです。


クマリン。4の位置にOH基があるので、4-ヒドロキシクマリン。この化合物の3の位置のC–H結合と安息香酸化合物のo位のC–H結合が活性化されて炭素–炭素結合が形成します。んで、安息香酸と4-ヒドロキシクマリンの「ヒドロキシ」で脱水縮合してエステルというかラクトンというか、そういう構造ができる。結果としてクマリン骨格が2つある(一部骨格が共有されている)化合物が生成する、と。なるほどなるほど。

生成したクマリン骨格が2つある化合物、π共役化合物から発光スペクトル測定によって発光ピーク波長が求められています。SUpporting Infomrationにデータがありますが、発光ピーク波長には溶媒依存性は見られず。ただし観測してる化合物がそうであるというだけで、電子吸引基と電子供与基を適切な位置に配置すれば、溶媒の極性と発光ピーク波長に大きな相関が出てくる可能性は十分にありそう。ソルバトクロミズム。

反応の触媒が酢酸パラジウム、酸化剤が酸化銅ということで、C–H結合活性化はFujiwara-Moritani型親電子置換ということになるのでしょう。4-ヒドロキシクマリンと安息香酸のどちらのC–H結合が活性化されるのか、また、どの段階でエステル化が起きるのか知りたいので、読みたい論文に追加です。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

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近づきすぎのキジトラさん。

 

計算終わりました

 

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