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[読みたい論文] 鉄触媒で酸素原子と硫黄原子を入れ替えます。

Viewed: 08:24:53 in February 23, 2020

Posted: January 15, 2020

Iron(II)/Persulfate Mediated Newman–Kwart Rearrangement (Gendron, Thibault; Pereira, Raul; Abdi, Hafsa Y.; Witney, Timothy H.; Årstad, Erik)
Org. Lett. 2020, 22 (1), 274−278.

Keywords: Newman–Kwart rearrangement; Fe; Mohr's salt; 読みたい論文シリーズ; 有機化学; ブログ


鉄触媒下でのNewman–Kwart転位に関する論文のようです。熱反応では下のような反応中間体を経るNewman–Kwart転位、200–300℃の高温が必要ですが、鉄触媒下では65℃、2時間でOK。溶媒はアセトニトリル/水。


人名反応としても知られるほどですので、反応の様式はだいたい分かりますが、謎なのが使用している反応剤。単純な転位反応にも関わらず、過硫酸アンモニウムが基質に対して等モル使用されているのが勉強不足のためかどうにも理解できず、一体どんな目的なのかと知りたくて、読みたい論文に追加しました。基質消費量の経時変化のプロットから明らかな反応の誘導期間が見られるのも、もう一つの謎です。

この論文の反応、反応が分子内反応であるかを調べているようで、例えばアセトニトリルH218O溶媒中の反応では、生成物の酸素原子は18Oではないことが確認されています。また、交差実験では交差生成物は得られていないとのこと。

一方、水の不在下で反応を行うと硫黄原子が酸素原子に置き換わった化合物が生成するようです。転位には水が必須だということなのでしょう。このカルボニル酸素原子がどこからやってくるのか気になりますね。過硫酸アンモニウムからでしょうか?


ところでこの謎な過硫酸アンモニウム、Supporting Informationを読んで知ったのですが、市販品には鉄や銀などの不純物が含まれることがあるのですね。他の過硫酸塩である過硫酸カリウムにも、もしかしたらなんらかの金属が含まれているかもしれませんね。

この記事を書いた人
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

きょうのどうぶつ

ここの画像を使用しています。

澄ました顔のチャシロさん。

 

計算終わりました

 

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[Environ. Sci. Technol. 2020, 54, 517−526]
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(Cheng, Wei; Lu, Xinglin; Kaneda, Masashi; Zhang, Wei; Bernstein, Roy; Ma, Jun; Elimelech, Menachem)
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