[読みたい論文] Ir触媒でギ酸分解: ♪余計なものなど…あったね。
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Posted: July 13, 2017
WordPressの記事をアーカイブ化したものです。
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。
専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。
扱う反応はいろいろあるようですが、錯体の基本構造は大きく変わっていないような気がします。
[
ACS Catal. 2017,
7 (7), 4479−4484]
A Bifunctional Iridium Catalyst Modified for Persistent Hydrogen Generation from Formic Acid: Understanding Deactivation via Cyclometalation of a 1,2-Diphenylethylenediamine Motif (Matsunami, Asuka; Kuwata, Shigeki; Kayaki, Yoshihito)
Web:
10.1021/acscatal.7b01068
Graphical Abstractお借りしますね。

榧木先生@東工大。 桑田先生@東工大。
榧木先生は山本明夫先生、桑田先生は干鯛眞信先生だったかな(記憶が)。お師匠さん。
ギ酸の分解反応をモデルに、エチレンジアミン配位子を持つイリジウム錯体の不活性化がどのように起こるのか、調べているようです。
エチレンジアミン配位子配位子の炭素原子にベンゼン環がくっついているタイプのイリジウム錯体の場合、ベンゼン環の炭素-水素結合が活性化されて、イリジウム-炭素結合が形成してしまうのだとか。そうなってしまったイリジウム触媒は、ギ酸の分解を起こさなくなってしまい、刺繍的には、ギ酸の分解が進まなくなってしまう、と。
その結果を踏まえて、ベンゼン環がくっついていないエチレンジアミン配位子を持つイリジウム錯体でギ酸の分解を行うと、反応がストップしてしまうことがなくなり、触媒の回転数(TON)は16000近くに達するのだそうで。
余計なものを削ぎ落とさんといかんこともあるんですね。
そんなわけで、読みたい論文に追加です。
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