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[読みたい論文] 有機マグネシウムとフッ化スルフリルからフッ化スルホニルを作ります

Viewed: 02:30:15 in July 6, 2025

Posted: December 6, 2019

One-pot fluorosulfurylation of Grignard reagents using sulfuryl fluoride (Lee, Cayo; Ball, Nicholas D.; Sammis, Glenn M.)
Chem. Commun. 2019, 55 (98), 14753−14756.

Keywords: Mg; SO2F2; THF; SPS; Sammis, Glenn M.; 読みたい論文シリーズ; 有機化学; ブログ


有機マグネシウム反応剤(Grignard反応剤)とフッ化スルフリルの反応について報告している論文のようです。

単純に考えれば生成物はフッ化スルホニルですが、フッ化スルホニルには硫黄−フッ素結合がありますので、こことさらに有機マグネシウムが反応してスルホンになるし、アルコールやアミンと反応させればスルホン酸エステルやスルホン酸アミドになる、と。なるほど。

有機マグネシウムの反応について確認しておきたいことの一つが「どっちがどっちに」というやつです。容器(最近はフラスコじゃない反応も多いです)に先に入っているのは有機マグネシウムかフッ化スルホニルか。ここはSupporing informationに大抵あって、この論文の反応ではフッ化スルホニルの入っている容器に有機マグネシウムを入れていくのがメインの模様。基質によってはどっちかわからんぞというのもありです。

あと反応溶媒については例えばTHFだと購入品とかガラスの蒸留器に溜めたものとかごっつい蒸留システムからとか、いろいろ試してあるのが面白いですね。

反応自体がシンプルなので本文の内容がある程度予想できますが、応用例とかあるかもしれないので、読みたい論文に追加です。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

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