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[今日描いた構造式] ジシレン化合物

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Posted: December 14, 2018

[J. Am. Chem. Soc. 2018, 140 (49), 16962−16966] Geometrically Compelled Disilene with λ4-Coordinate SiII Atoms (Kostenko, Arseni; Driess, Matthias)

5,6-bis(amidinato silylenyl)acenaphteneの合成とその構造に関する論文のようですが、論文のタイトルはジシレンで化合物名はシリレン。

著者が強調しているのが、ケイ素=ケイ素二重結合の距離です。その値、2.623 Åと、この論文が出た時点で最長とのこと。

そして、ケイ素=ケイ素二重結合の距離がここまで長くなると、ケイ素=ケイ素二重結合に特徴的でない反応性、例えばシリレン特有のものも出てくるとか。

合成法は5,6-dibromoacenpahtheneとPhC(NtBu)2SiClから。nBuLiを使います。臭素−リチウム交換でリチオ化して云々、ですね。

NMRのケミカルシフト値、反応性について詳しく知りたいので、読みたい論文に追加です。Supporting Informationをしっかり読めばある程度はわかるのでしょうが…。

Keywords: 5,6-dibromoacenaphthene; n-butyllithium; Driess, Matthias

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

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