[読みたい論文] 基質の立体が綺麗に反映されるFriedel−Crafts型アリル化反応
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Posted: July 24, 2019
Acid-catalyzed chirality-transferring intramolecular Friedel−Crafts cyclization of α-hydroxy-&alpha-alkenylsilanes (Sakaguchi, Kazuhiko; Kubota, Shunnichi; Akagi, Wataru; Ikeda, Naoko; Higashino, Masato; Ariyoshi, Shoma; Shinada, Tetsuro; Ohfune, Yasufumi; Nishimura, Takahiro)
Chem. Commun. 2019, 55 (59), 8635−8638.Keywords: Friedel−Crafts; TBDMS; DMPS; MTPA; TMSOTf; Nishimura, Takahiro
TMSOTf存在下での光学活性アリリックアルコールのFriedel−Crafts型アリル化反応について報告している論文です。Graphical abstractに"enantio-enriched"とありましたので基質そのもののキラリティが関与する不斉増幅かと早合点してしまいましたが、出発の基質の光学純度が高いことから、タイトル通りの内容のようです。
Graphical abstractの化学式、変数は
Siしかありませんが、下の図のようにケイ素だけでなくOH基の位置や二重結合の幾何異性、環サイズ、ベンゼン環の置換基などなど、色々変えてみたくなるところがあるわけです。論文中でどんな化合物を取り扱っているのかとSupporting informationをざっくり読みましたが、幅広くやっているようです。反応の適用範囲や機構の考察、おそらく後者の目的でいろんな検討をしているんだろうと思いました。
ところで、生成物の絶対配置、つまり、反応で形成される6員環から伸びる枝が上か下か、これがどうやって決まるかですが、多分こうなんじゃないかなと勝手に考えました。下の図の青いところが反応で形成する炭素−炭素結合ですが、切断されていく炭素−OH基と平行になるようにモデルを組むと6員環から下向きに枝が付く感じになるんですよね。これかなと。実際のところは本文読まないと解りませんが。
こんな妄想を抱きながら、読みたい論文に追加しました。
「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。
専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。
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[Doi 1]
Ritter反応
[Doi 1]
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電気泳動装置の考案および血清タンパクの複合性に関する研究
(Arne Wilhelm Kaurin Tiselius)
できごと
天王星の衛星ミランダが発見される
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