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[読みたい論文] 両者金属のルイスペア

Viewed: 11:21:16 in July 4, 2025

Posted: July 25, 2019

Cooperative activation of X−H (X = H, C, O, N) bonds by a Pt(0)/Ag(i) metal-only Lewis pair (Hidalgo, Nereida; Maya, Celia; Campos, Jesús)
Chem. Commun. 2019, 55 (59), 8812−8815.

Keywords: Pt; Ag; Lewis pair; NTf2; Campos, Jesús


ルイス酸側もルイス塩基側も金属であるルイスペアの反応性について検討を行った結果を報告している論文のようです。白金(0)がルイス塩基で、銀(I)がルイス酸、ということでしょうか。反応させる相手は水素、末端アルキン、水、アンモニア、アセトニトリル等。

一般的なルイスペアであれば、酸塩基反応でルイスペアを形成する結合は切断されますが、高配位数を取りうるルイスペアの場合は、結合が維持された化合物が生成する可能性がある。それが、この論文の最も主張したいところなのかなと、Graphical abstractを眺めて思いました。異核金属クラスタの反応とどこが違うんだとツッコミを入れたくなったりもしましたが、論文中に新しい何かが書かれているのかもしれません。

Supporting informatonにはルイスペアを形成する結合が切断されるケースも書かれています。一般的なルイスペアと変わらない反応や、金属単核錯体にありがちな反応も起こるようです。それぞれの反応について著者がどのようにコメントしているのか興味があるので、読みたい論文に追加です。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

1949年はこんな年

人名反応など
Baileyペプチド合成Cope反応 [Doi 1]
Cornforth転位 [Doi 1]
ノーベル化学賞
化学熱力学への貢献、特に極低温における物性の研究
(William Francis Giauque)
できごと
スポーツニッポン創刊
東京理科大学設立
海王星の衛星ネレイドが発見される
東京、大阪、名古屋の3証券取引所が取引再開
通商産業省(経済産業省)発足
国立学校設置法施行(新制大学)
世界初のジェット旅客機初飛行(デ・ハビランド DH.106 コメット)
五円硬貨発行
大日本麦酒が朝日麦酒(アサヒビール)と日本麦酒(サッポロビール)に分割
鐘淵化学工業が発足
和江商事(ワコール)設立
湯川秀樹がノーベル物理学賞を受賞
サザエさん連載開始
京阪電気鉄道再発足
初のお年玉付年賀はがき販売

 

きょうのどうぶつ

ここの画像を使用しています。

名前はわからんけどカラフルな昆虫。

 

計算終わりました

 

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