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[読みたい論文] マンガン触媒でカルバミン酸類とか水素還元します。

Viewed: 15:03:27 in July 3, 2025

Posted: August 23, 2019

Manganese Catalyzed Hydrogenation of Carbamates and Urea Derivatives (Das, Uttam Kumar; Kumar, Amit; Ben-David, Yehoshoa; Iron, Mark A.; Milstein, David)J. Am. Chem. Soc. 2019, 141 (33), 12962−12966.

Keywords: Mn; tBuOK; Milstein, David


マンガン触媒存在下でのカルバミン酸類や尿素類の水素還元について報告している論文のようです。生成物は、カルバミン酸類からはメタノールとアルコールとアミン、尿素類からはメタノールとアミン。んで、メタノールの収率が99%にまで達するとのこと(最高値でということか?)。

この論文の売りポイントの一つが、地球上に豊富に存在するマンガンを触媒として使用できることなんだそうで。ピンサー型配位子がくっついているし、コストはさておき化学プロセスにマンガンてそんなにメリットあるのかなと思ったりはするのですが、デモンストレーションとしてはこれはこれでいいのかもしれません。

tBuOKが使用されていますが、これは触媒調製のためのものですね。Graphical Abstractに描かれている配位子のリンイリドっぽいところを作る、と。んで、このリンイリドっぽいところあたりの不飽和結合も、触媒が水素を取り込む時に重要な役割を果たす、と。なるほどですね。

計算を含めた反応機構の考察が本文中で行われているようなので、読みたい論文に追加です。

この記事を書いた人

「牧岡ふうふ堂」オーナー。博士(工学)。
酒都圏在住。
某地方の国立系工業大学でアシスタントをしていました。 専門は有機反応・金属錯体(主に希土類)・π共役系。
twitterアカウントは@makiokafufudo(お仕事用)、@ymakioka(個人用)です。

 

 

1970年はこんな年

人名反応など
Barton−Kellogg反応 [Doi 1] [Doi 2]
Borch還元的アミノ化反応 [Doi 1]
Mislow?Evans転位 [Doi 1] [Doi 2]
ノーベル化学賞
糖ヌクレオチドの発見と糖生合成におけるその役割についての研究 (Luis Federico Leloir)

できごと
早川電機工業がシャープに社名変更
UNIX時間
日本万国博覧会(大阪万博)開幕
日本航空機よど号ハイジャック事件
新日本製鐵(新日鐵住金)発足
ビートルズ解散
「ジムニー」発売(鈴木自動車工業=スズキ)
LSI開発(日立製作所)
日本政府が閣議で日本の呼称を「ニッポン」に統一することを決める
植村直己が北米大陸最高峰マッキンリー山に単独初登頂
米上院で大気汚染防止法案(マスキー法)が可決
三島事件
ソ連の宇宙探査機ベネラ7号が金星に着陸

 

きょうのどうぶつ

ここの画像を使用しています。

この中にマルハナバチがいます。

 

計算終わりました

 

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